KAIGO LEADERSのこれまで -ただの飲み会からスタートし、全国展開するまでの約10年の歩み-(アップデートイベントレポート前編)
KAIGO LEADERSは、介護に関心を持つ1人ひとりの力でより良い社会を目指すコミュニティです。
「2025年、介護のリーダーは日本のリーダーになる」をビジョンに掲げ、2013年に始動。介護に志を持つ人が集い、共に学んだり、1人ひとりの一歩を応援するコミュニティとして活動をしてまいりました。
“2025年”まであと数年。
2025年は、団塊の世代の人が75歳を迎え、介護の需要がますます高まると言われてきました。家族として介護にかかわる人が増え、介護をしながら働きやすい環境整備の必要性が叫ばれています。多くの人がそれぞれの立場で介護にかかわる機会が増えています。
これから2025年の先の未来を見据え、誰もが介護にかかわる時代だからこそ、介護の話を業界に閉ざさず、さまざまな人たちと共に介護の未来を描いていきたいと考え、KAIGO LEADERSは、2022年にビジョン・ミッションをアップデートしました。
「すべての人にカイゴリーダーシップを」
これが、私たちの新しいビジョンです。
ビジョンのアップデートに伴い、イベントを2022年8月6日に開催しました。
『すべての人にカイゴリーダーシップを~KAIGO LEADERSアップデートイベント~』
本イベントでは、KAIGO LEADERS発起人の秋本可愛が、KAIGO LEADERSの歴史や取り組み、そして新しいビジョンとともに歩む未来について語りました。
その内容をレポートしていきます。本レポートでは、前編として前半にお話した「KAIGO LEADERSのこれまで」についてまとめています。
※「KAIGO LEADERSのこれから」について書かれている後編は後日公開予定です。
KAIGO LEADERSのこれまでとこれからを4つのフェーズに分けてお話しました。
本レポートは、第3フェーズまでの内容となります。
第1フェーズ:あるのは、想いだけ。カタチのないものに輪郭ができるまで。(2013.4.1~2014.12)
KAIGO LEADERSは、一体どのようにスタートしたのでしょうか。
私は介護の現場で、大学生の時にアルバイトをしていました。おばあちゃんたちに物凄くかわいがってもらいながら、色んなことを学ばせてもらいました。その一方で、「早く死にたい」と言っているおばあちゃんがいたり、職員がしんどそうにしている状況も目にしました。生きていることを「申し訳ない」と言っていたり、人生の終わりにかかわっている人たちも結構苦しそうだという現状を見た時に、「何か変えたいな」と思い始めたのがスタートです。
当時(2013年頃)、“2025年問題”という用語をメディア等で目にする機会が多くなりました。これからさらに介護の担い手が不足し、“老老介護“や“看取り難民”といった問題が深刻化していくと予測されたのです。
2025年で、私は35歳になります。そう考えると、「自分たちの世代ががんばらないといけないんじゃないか」「どうしたらもっと多くの人が幸せになるんだろう」と思うようになりました。いざ、介護の領域に踏み込むと、すごく色んな課題が見えてきて、暮らしに直結することも多いのですが、なかなかそこに対して若い人たちの関心が向かっていないことに問題意識を抱くようになったのです。
想いが芽生えた後、最初の1歩としてどのようなアクションをしたのでしょうか。
まずは、『介護系アクティブ学生交流会』を開催し、介護に関心を持っている若い人たちを集めることから始めました。
最初は、ただ集まって語っただけです。色んな人たちが介護についての問題意識や想いを語るところからKAIGO LEADERSは始まっています。
参加者が学生だけではなくなる段階で、平成世代が介護業界で頑張っていかないといけないという想いで、プロジェクト名を「HEISEI KAIGO LEADERS」に変更しました。
「飲み会ばっかりやってても社会は変わらないぞ」と思い、20代で介護に対して想いを持っている人たちに登壇してもらって学び合う機会を作るようになったんです。
そして、この時期から「2025年、介護のリーダーは日本のリーダーになる」というビジョンを掲げはじめました。
1周年の頃には、イベントに多くの方に集まっていただけるような団体になっていました。
順調なように見えましたが、新たな課題が見えてきました。
ただ、イベントを開催しているだけではダメだと思うようになりました。想いを持った人たちが、イベントに参加することで熱量を上げられます。その後に、熱量をちゃんとアクションに変えていくためのプログラムが必要だと考えました。そのプログラムが、KAIGO MY PROJECT(通称、マイプロ)です。
第2フェーズ:コアコンテンツの誕生とチーム体制の構築。そして全国へ。(2015.1~2019.11)
第2フェーズでは、KAIGO LEADERSは、チームになっていきます。
介護に関するニュースは、ネガティブな内容の方がどうしても多い状況です。そんな中でも、介護のことを前向きに一緒に学びあったり、つながったり、プロジェクトを一緒に実践していくきっかけをつくっていくためにコミュニティ運営をしていきます。
“つながる”ということをベースにしながら、“まなぶ”環境と、アクションに落とし込む“つくる”環境を構築するために2つのプロジェクトを実施。
1つ目が「PRESENT」という学びの場です。
業界内外のトップランナーが登壇し、具体的な実践やノウハウのみならず、その背景にある価値観や思想を学ぶことができます。毎回約100名の方にご参加いただきました。
人と人とがつながる環境を、どうやったらポジティブにできるかということを考え、会場装飾やケータリングにもこだわり、楽しく学べる環境をひたすら作っていました。また、参加者が一方的に聞くだけではなく、聞いて、ちゃんと自分で考えて、自分の気づきとして持って帰っていただけるようにすることにもこだわりました。そのため、ゲストのお話を聞いた後は、参加者同士が対話して考える場を設けています。
2つめが「KAIGO MY PROJECT」です。
想いがあっても、学んでいても、行動しなければ何も変わらないよね、ということでスタートしました。今26期が動いており、参加者は220人です。
3ヶ月の連続ワークショップのプログラムで、それぞれの想いをいかにプロジェクトに変えていくかということを、参加者同士の会話を通じて具体化していきます。そこからは、様々なプロジェクトが誕生してきました。
今まで学びの場やつくる場を通じて、5000人くらいの方にかかわってもらってきているんですが、本当に多くの人がいろんな違和感や問題意識を持っているなと思っています。違和感は未来をより良くする可能性があると感じています。そんな1人ひとりの想いをアクションに変えていくにはどうすれば良いかを考えると、誰かに共有して、共感されれば自信が持てたり、「やってみよう」という気持ちになったりするのではないでしょうか。そういった環境を作り続けているのがKAIGO LEADERSです。
全国展開に向けて、クラウドファンディングを実施
5年目。東京を中心に活動を続けていましたが、ビジョンの達成のために、全国展開をしていくことに決めました。
具体的には、コミュニティを全国8カ所に展開し、オンラインコミュニティを構築することを掲げたのです。
その資金を集めるために、クラウドファンディングにチャレンジ。600万という目標を掲げ、結果としてクラウドファンディング経由以外も含め900万円のご支援をいただきました。
コミュニティは、東京、大阪、金沢、広島、福岡と展開していき、次に仙台と札幌へ行く段階でコロナ禍に突入。現在はオンラインで、エリアという概念なく展開をしています。
また、元号が変わるというニュースが出たことを契機に、「HEISEI KAIGO LEADERS」から「KAIGO LEADERS」に名称を変更し、再出発することになりました。
第3フェーズ:全国展開と、コミュニティの基盤をオンラインコミュニティへ(2019.12~)
クラウドファンディングの際に、オンラインコミュニティを立ち上げることも掲げていました。
私は今東京に住んでいるんですけど、東京で頻度高くイベントができたとしても、他の地域に行けるタイミングは限られてしまいます。限られたイベントの機会だけだと、やっぱりコミュニティにならないんですよね。ですから、やっぱりもうちょっと日常的に人と人とがつながれる環境を作りたいなと思って、オンラインコミュニティを展開し始めました。
オンラインコミュニティの名称は「SPACE」です。
第3フェーズでは、このオンラインコミュニティ「SPACE」を全国展開とコミュニティの基盤にしていきました。
「SPACE」メンバーになると、コミュニケーションツールSlackのメンバー限定のルームに招待されます。そこには、色んなチャンネルがあり、自分の関心事のテーマのチャンネルに入ります。
例えば、日々の情報交換だったり、悩みの相談ができるチャンネルがあります。
私も悩みを共有したら、みんなが答えてくれました。専門職、家族介護経験者、周辺事業者、IT系のプレイヤー、学校の先生等色んなプレイヤーがいるので、それぞれの強みを活かしながら、どんな質問をしても返ってくるというとてもありがたい環境があります。
また、一緒に学べるようなイベントや部活動があります。部活動は、例えば読書部、運動部や子育て部等様々。
メンバー限定のイベントも毎月開催されていて、メンバー自体が講師になることも多いです。
年に1回夏の自由研究で、チームを組んで一緒に研究して、学びをアウトプットする。地域コミュニティを一緒に見学しに行ったり、メンバー同士が起業するなんてこともありました。オンラインコミュニティには本当に多様な200人くらいの方がいるので、本当に色んなことが起きています。
オンラインコミュニティのメンバーはSPACE限定のイベントやKAIGO LEADERSが主催するイベントに無料で参加できたり、これまでの(一定期間の)イベントのアーカイブを見ることができるという特典もあります。
KAIGO LEADERSのコミュニティのかかわり方は現在3通りあります。
- イベントへの参加…興味があるイベント等に単発で参加する。
- オンラインコミュニティ「SPACE」への参加…もっとつながりたい、誰かと一緒に何かをしたいという方向けです。
- 運営メンバー…イベントの企画や情報発信に取り組みたい方向けです。
オンライン化したことで気軽に様々な形でつながれるようになっていきました。北海道から沖縄まで全国の方から参加いただいたり、最近では外国の方も参加してくださっていました。
本当に色んな方にお世話になってきました。
KAIGO LEADERSのこれまでのお話は以上となります。
代表の秋本可愛の“想い”から始まり、行動を起こすことで、人と人がつながり、それがどんどん大きくなっていきました。
そんなKAIGO LEADERSのこれからのお話は後編で是非ともチェックしてください。
開催概要
日時: 2022年8月6日(土) 19:00〜21:00
場所:オンライン(Zoom配信)