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イベントレポート

認知症状の緩和にも効果がある!?指先オシャレが心を明るくする福祉ネイルの世界

あなたの指先は今どんな状態ですか?
爪を短くしていますか?乾燥していますか?それとも、ネイルをされていますか?

意外と指先は他人から見られています。
あなたも電車に乗っている時にスマホを操作している人、カフェにいる時何かを飲んでいる人を見かけると、無意識に顔ではなく手元を見てしまう時はありませんか?

爪の補強やオシャレのためにネイルアートをしている方は多く、男性であっても爪が磨かれていて、ツヤっとしていると清潔感が伝わりますよね。

実はそんなネイルアートは認知症状の改善や癒しの効果もあるそうです。
まだ福祉と美容の世界は別次元に感じる方も多いですが、この2つの世界を結びつけることで幸せな気持ちを広げようと活動されている“福祉ネイリスト(※1”をご存知ですか?

2023年10月27日に開催された、かいスぺミート(※2)。今回は様々な職場を経て福祉の世界に辿り着いた、訪問ネイルケアサービス「ファミーユ」代表の中尾将吾さん(なかお・しょうご)さん(以下、中尾さん)をゲストにお招きし、福祉ネイルを起業された経緯の話や活動内容についてお話いただきました。

福祉ネイリストは、「未知なる価値を未来の常識に」をスローガンに、全ての女性がいつまでも自分らしくいられるよう、高齢者施設、福祉関連施設や病院へ出張し、ネイルを施すサービスを提供しています。

体が不自由になってしまった高齢者がネイルを見て笑顔になります。
その高齢者をみて、ご家族や施設の職員も笑顔になります。

そんな笑顔が連鎖する福祉ネイリストの世界の魅力について語っていただきました。

※1日本保健福祉ネイリスト協会の認定にて一定のカリキュラムを修了し、卒業試験に合格することでディプロマが発行され、「福祉ネイリスト」に認定されます。地域の福祉施設に訪問し、ネイルを施しています。

※2『かいスぺミート』とは、KAIGO LEADERSのオンラインコミュニティ「SPACE」(通称:かいスペ)で開催している月に1回の定例会です。かいスぺメンバーの実践例をみんなにシェアする会やゲストを招いたゲスト会などを開催しています。

異業種から福祉ネイルの世界へ

10数年前、中尾さんのお祖父さんは寝たきりの状態でした。
そんなお祖父さんを、中尾さんのお母さんが介護しているのを20代前半の中尾さんは気恥ずかしい部分もあり、見ているだけでした。

いつ終わるかわからない介護は大変だろうなと思いつつも、介護の知識もなく何もできなかったことにモヤモヤが残っていました。

大学卒業後は古着屋に勤めてから、医療機器メーカーの営業に転職。それから11年間、滋賀、大阪、岡山や広島といった各地を点々としました。

中尾さんが33歳の時、周りの同僚や友人が頑張っている姿や、結婚を機に転職をしているのみて「自分はこのまま同じ職場にいていいのか」と疑問を抱き始めました。

そんな気持ちのまま迎えた35歳の元旦。

健康のためにと毎日ランニングを続けており、大晦日に実家へ帰省した時もランニングウェアを持っていきました。

地元に朝日の見える山があるので、「初日の出が見える時間に走ろう!」と考えていたのですが大晦日ということもありお酒やテレビのせいで朝寝坊をしてしまったんです。

「これは見れないな……」
と諦めかけたのですが、「せっかくだし」と急いで家を飛び出しました。
頂上では見ることができませんでしたが、美しい初日の出を見て大きな感動を抱いたそうです。

行動しなければ見えない景色がある!」と、その後数ヶ月で会社を辞め、一念発起して起業を決意しました。

オシャレすることが認知症状の改善に

ある日ネットサーフィンをしていると、福祉ネイルというワードが目に止まりました。

岡山にある吉備国際大学保健医療福祉学部の佐藤三矢准教授の調査によると、ネイルは認知症や鬱の予防、症状の軽減に効果があるという情報に行き着きました。

他にも、化粧を施すことで「皆に見てもらいたい」と外に出るきっかけになる化粧療法というケアがあることも知りました。そこから、美容と福祉をつなぐことができないかと考え始めるようになったのです。

昔でいうポリッシュ、いわゆるマニキュアを爪にカラーリングすることでお洒落を楽しんでいただき、癒されることで元気になったり日々の楽しさを見出してもらえるのではないかと思ったんです。

営業経験が豊富な中尾さんが仕事を受注し、ネイリストさんに派遣で仕事をしてもらうことで多くの方に幸せな気持ちを届けることができるのではないかと、訪問ネイルケアサービスファミーユを立ち上げました。

業務形態は様々だそうですが、その多くは介護施設に出張することが多いようです。

利用者一人ひとりとのやり取りが難しい場合は、介護施設から1時間毎に料金をいただくケースもあるようです。
中尾さんは、福祉ネイリストを養成するための福祉ネイリストスクール広島校familleも運営しています。

福祉ネイルとして関わった方の悩みを解決したいという想いから、現在はリフォーム業も兼業されています。

繰り返しの日々に明るい光

施設に入所すると、段々とオシャレを忘れがちになってしまいます。

いつの間にか見た目に気を遣うことが面倒になり髪はボサボサ、同じような毎日を繰り返す日々を送り、鬱のような症状になってしまう利用者も少なくありません。

そんな利用者に福祉ネイリストがネイルを施すことで、80代の方も90代の方もパッと笑顔になり喜ばれます。

中には100歳を超える方もいらっしゃいました。僕の経験上、福祉ネイルをした利用者は100%笑顔になっています。月に1回、繰り返し訪問することで変化も感じられます。昔の感覚を思い出し、髪をセットされるようになった方、口紅を塗ったり、スカートを履くようになった方がいたり……。そのような見た目の変化を起こせるのも福祉ネイルのやりがいです。

「僕の母親にはそんなことしなくていいよ」と拒否反応を示す息子さんもいらっしゃるそうですが、まずは無料体験を受けていただいてから利用するかを決めてもらっているそうです。

結果、「あぁ、もっと早くやってもらえばよかった」という声も挙がります。福祉ネイルを全国に広めることで、笑顔の連鎖を作り、人生100年時代をもっと楽しいものにできます。福祉ネイリストが地域密着で活躍することで、福祉の場に当たり前に美容が存在する世界を私たちは作れると信じています。

中尾さんは、福祉ネイルをよりひろげていくために、広島県内でおこなっていた「イロドリのおくりもの」サービス(訪問ネイルをプレゼントするサービス)の全国展開をスタートさせました。

介護の現場に鮮やかなネイルアートを

身体に不自由があっても爪先がキラキラと明るくなることで気持ちも明るくなり、利用者のQOL(生活の質)向上に役立ちます。
明るい気持ちが心を開き、会話が弾むことも期待できますよね。

施設で働く介護職員が、利用者にネイルを施す場合もあるようです。
笑顔の連鎖が起こる福祉ネイルが多くの介護施設で広がることを期待しています!

ゲストプロフィール 

中尾 将吾(なかお しょうご)
日本保健福祉ネイリスト協会 副理事長
訪問ネイルケアサービス ファミーユ代表
福祉ネイリストスクール広島校famille講師

1983年生まれ 現在40歳 妻38歳 長女8歳 長男5歳 猫12歳
大学卒業後、古着屋⇒医療機器メーカーの営業を経て起業
営業マン時代(35歳)に福祉ネイルに出会い、起業。
起業のきっかけは、元旦にランニングで登った地元の山から見た初日の出。
行動しなければ見えない景色がある!!と感じ、一念発起し起業。
現在は、広島で福祉ネイリストとして活動しながら、福祉ネイルスクールの講師、ネイリストの派遣業も行う。
夢は福祉ネイルの確立!(社会的確立と経済的確立)
福祉ネイルとして関わった方の悩みを解決したいという思いから、現在はリフォーム業も兼業。家の修繕やリフォームを行う。

開催概要

日時:2023年10月25日(水) 20:00~
会場:オンライン

 

この記事を書いた人

鈴木 奈々子

鈴木 奈々子Nanako Suzuki

エステティシャン/アロマセラピスト/キャンドルアーティストKAIGO LEADERS PR team

海外でアロマタッチングボランティア活動中。帰国後、介護施設/ケアする人のケア/児童養護施設等で活動することを目指しています。