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インタビュー

仲間に想いを伝えること・仲間の想いを聞くこと(KAIGO MY PROJECT OB/OGインタビュー Vol.4)

KAIGO MY PROJECTに参加してくれたOB/OGの活動をお届けするインタビュー第4弾。
名前に「KAIGO」とついてはいますが、介護領域以外にも様々な分野で活躍するメンバーが参加してくれています。

今回は、1期に参加をしてくれた障害者支援事業所で働く黒澤絵美さんにお話を伺いました!

話し手:黒澤絵美
障害者支援 現場リーダー/KAIGO MY PROJECT1期
聞き手:佐藤亜美
有料老人ホーム 介護士/KAIGO MY PROJECT2期

 

対話を通して見えてきた、職員一人ひとりの想い

佐藤:黒澤さんのマイプロを教えてください。

 

黒澤:私自身が務める障害者支援事業所の「スタッフのサービスレベル向上」が当初掲げていたプロジェクトでした。しかし、3ヶ月のプログラム内でメンバーと対話を重ねるうちに、最終到達地がそこだとしても、途中のプロセスでそれぞれが強みを活かし、役割を果たすことが大事なのではないかと考えるようになりました。そこから、人材を育成できる土台作りが大切だと思い、「仲間に想いを伝えること・仲間の想いを聞くこと」をマイプロジェクトとしました。

 

1期のメンバー集合写真

 

もともと黒澤さんの現場ではどのような課題があったのでしょうか。

 

受け入れる障害者の幅が広がっているのに対し、施設のスタッフの知識も技術が足りていませんでした。だからといって、研修を導入すれば解決するかという問題ではなく、受け入れたことに対し、まずは1人ひとりが責任を持ち、質を上げようという意識を持つことが大事だと思いました。いくら仕組みをつくって伝えても、自分事にならないと、楽しくやれないんだろうなと感じたんです。なので、私のマイプロは途中から、今の職場のメンバーに自分が思っていることをシェアして、共感してもらうことに変わりました。

 

具体的にどのようなアクションをされたのでしょうか。

 

今まで自分がどういうことを考えてきたか、今までに話したことがなかった人たちに話してみました。

 

お話してみて、実際にどんな反応が返ってきましたか。

 

人によって様々でした。障害者支援の仕事に想いを持って働いている人もいれば、自分の生活のために働いている人もいますからね。

 

反応が返ってこなくても、行動して良かったと思いましたか。

 

そうですね、1人ひとりの話を聞くことができましたからね。同じ職場という近いところにいたとしても、誰かから聞いた話に影響され、「この人はこういう人だ」と固定概念持ってしまうじゃないですか。聞いた話は他人の価値観であって、自分がどう思うかはきちんと分けて考えないと、意外と現実が見えていないなと、最近感じるようになってきました。

 

とても素晴らしい気付きですね!行動したからこそ、気付くことってありますよね。

 

最初はとりあえずやってみよう!という感じでした。実際やってみると「聞く」って本当に難しいなと感じました。意識して聞いているつもりでも、全然足りないことを、KAIGO MY PROJECTのプログラム内にあったワークを通じて感じました。ケアにも通ずるため、そのワークは自分の事業所に持って帰ってスタッフ同士でやっています。

 

そのワークを通して、何か気付きを得ることができましたか。

 

「短時間なのに凄く疲れた」「これを日常から使えたら変わりますよね」とか、普段「聞く」ということがどれだけできていないか感じながらもその重要性に気付いてくれたみたいでした。
スタッフを交えて月に一度会議を行っている中で、このワークはやろうって話になりました。1年継続してどのような変化があるか、また、モチベーションのスイッチを入れる効果や、仕事に対する姿勢をリセットできる機会になることを期待して導入を決めました。

 

私もそのワーク早くやってみたいです!その他の成果はありましたか。

 

メンバーと話すようになり、自分がベストだと思うスタッフが、必ずしもベストではないと思いました。

 

自分が思う理想像が変わったということでしょうか。

100人いたら100通りの考えがある。それはそれで良いんだと思えるようになりました。最終的にご利用者様の幸せに繋がっているなら。やり方だったり、見せ方をどうするかではなく、「その人を幸せにする」ということに対して、その人がどういう想いを持っていて、そこにどのように向き合っているのかは、聞かないと判断できません。だから話すことや聞くことが何よりも大事だと感じました。

 

そのことに気付いてどのような変化がありますか。

 

人と話をしていて、面白いと感じることが増えました。意外なところで共感したり、もっと話したいなって想いが湧きました。それが他の人同士でも、そう思えるようになる仕組みを作りたいなと思いましたね。KAIGO MY PROJECTのワークを取り入れることで、良いイノベーションが生まれるのではないかと期待しています。

あとは、力を入れすぎないようになりました。もともととても1人でストイックに打ち込んでしまうタイプだったのですが、仲間の力を信じ、それぞれがどこかで波に乗ってくれればよいなって思うようになりました。

 

「焦りが無くなった」ということでしょうか。

 

1人でやるには限界があるなって感じました。これが腑に落ちたんです。

 

私も力んじゃうタイプです(笑)

 

「誰かのために」という想いが、自分自身を成長させる。

KAIGO MY PROJECTのメンバーは、始めはそれぞれが「自分のため」に参加していたと思うのですが、「この人の為になるには?」っていう想いが自然発生するんです。しかも、結局それが自分自身の為になって返ってくるんですよね。自分の為より人の為に行動しているときの方が、学びは大きいんです。

 

確かに何かを学ぶときは必ずと言っていい程、他者が関わっていますね。

 

何かを成し遂げる人って必ず1人じゃないんですよね。それをKAIGO MY PROJECTで体感しました。KAIGO MY PROJECTでは、「他者のために」というのが前提として参加者全員の意識に共有されていますが、会社にはそんなルールはありません。そういう場が整っているか否かで、コミュニケーションの価値の差は歴然です。だからその前提を、どうやって会社に作るか、人が育つかどうかもそれに尽きるなと感じました。

 

ご利用者様の為だけでなく、ご利用者様に関わるスタッフの環境を整えるかが重要ということですね。
最後に、黒澤さん自身が3ヶ月のプログラムを経て1番変わったことを教えてください。

 

スタッフに考え方を押し付けたり、やり方を一方的に伝えたりすることがなくなりました。もっと良くなるはずだから、今が絶対じゃないと、仲間を信じ向き合えるようになりました。

 

人の意見を聞き入れやすくなったということでしょうか。

 

そうですね、人の話もすぐに判断するのではなく、「そうかそうか」とまずは受け入れて聞くようになったと思います。結局目的は「ご利用者様を幸せにする」って皆同じ想いですからね。

 

お話を聞いていて、未来への道が開けるような印象を受けました。ありがとうございました。

 

この記事を書いた人

佐藤 亜美

佐藤 亜美Tsugumi Sato

介護職員HEISEI KAIGO LEADERS サポートメンバー