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インタビュー

もう一度介護という道を選んだワケ(KAIGO MY PROJECT OB/OGインタビュー Vol.2)

KAIGO MY PROJECTに参加してくれたOB/OGの活動をお届けするインタビュー。
お二人目は、1期に参加してくれていた渡邊恵美さんにお話を伺いました。
マイプロへの参加後、一度は離れた介護の現場に戻る決断をされた渡邊さん。何が渡邊さんの背中を押したのでしょうか?

語り手:渡邊 恵美(写真右端)
デイサービス 介護士/KAIGO MY PROJECT1期
聞き手:佐藤 亜美
有料老人ホーム 介護士/KAIGO MY PROJECT2期

 

希望が見えない日々の中、出会ったマイプロ。

佐藤:KAIGO MY PROJECTの参加動機を教えて下さい。

 

渡邊:特養のユニット型施設で介護職を3年半続けて、現場で働くことに希望が見いだせず、介護を続けていく意味が分からなくなりました。そんなときにお世話になっているNPO団体から可愛ちゃんを紹介して頂き、初めは参加を迷ったけれど、せっかくのご縁だと思い、参加を決めました。

 

希望が見えないとは、具体的にどんな状況でしょうか。

 

職員が日々の仕事の業務に追われて、ご利用者様のリハビリや談笑等が後回しとなり、日を重ねる毎にご利用者様のADLが落ちるんですよ。足の筋力が衰えて、自立で歩けていた人が歩行器を使用するようになり、最後には車椅子になっていく事例はよくありました。また相手の話を理解して会話できていた人が、できなくなってしまうこともよくありました。そのような現状を目の当たりする事がとても嫌でした。さらに同僚・上司・私も含めて、身体に介護負担が来て腰を悪くしたり、夜勤業務やご利用者様からの粗暴行為や精神的ストレスでウツ状態になってしまった仲間の介護職員の姿に、将来への不安は募るばかりでした。
加えて介護業界のイメージは私の中でいい印象は無く、仕事に「誇り」を持てていませんでした。

 

私も感じることかもしれないことです・・・。渡邊さんのマイプロを教えて頂けますか。

 

自分をもっと知って自分にしか出来ないことを見つけること」が、私のプロジェクトでした。

 

なぜそのプロジェクトにしたんですか。

 

希望が見えなくなったときに、「私って何をしたら良いんだろう」「そもそも自分って何?」って思い、そのままこれをプロジェクトにしようと思いました。

 

自分を見つめることで気づいた介護への想い

そこから見えたことは何でしょうか。

 

介護現場に戻りたいなと思いました。私、KAIGO MY PROJECTを始めた当初は、介護の仕事を一旦離れ、事務職として働いていました。ですが、KAIGO MY PROJECTに参加して、自分の過去や自分自身を見つめる中で、自分の性質が福祉そのものにあっていることや、人の傍でお世話をすることに、とても喜びを感じていたことを思い出したんです。

 

介護の仕事を辞めていたんですね!でも、どうして改めて介護に戻りたいって思えたのでしょうか。

 

自己理解を深めていったおかげです。半年間の就職活動の最中、「私がやりたい職業って何だろう?」って自分に問い続けました。働くのなら自分のやりたいこと、楽しいことや何か将来に繋がるものが良いなと思いました。辛くてもやり甲斐のあることにしようと思い、自分自身を見つめていくと、私にとって「介護現場で働くこと」はやり甲斐のある仕事であることに気づいたのです。

 

 

自分に向き合った結果、介護現場に戻りたいと思えたんですね。そこに辿り着くまでに何か行動したことはありますか。

 

自分の興味のあるものに貪欲に突き進んでみました。まずは可愛ちゃんからご紹介頂いた藤沢で小規模多機能居宅介護やデイザービスなどを運営する、「あおいけあ」を訪問しました。そこは、ご利用者様の自主性を尊重していて、私がこれまで見てきた介護施設ではありえない光景が広がっていました。私がやってきた介護って何だったんだろう?と問われた気がして、涙が出ました。その他にもKAIGO MY PROJECTの初回に、ゲストとしてお越し下さった社会福祉法人のウエルガーデン伊興園の施設長である杉本浩司さんの介護理念に魅力を感じ、施設に行って杉本さんの介護観や施設内のこだわりをお聞きしました。

そして杉本さんが勉強された「竹内理論」を学んでみたくなり、その学会のシンポジウム開催の情報を教えてもらい竹内教授に会いに行きました。竹内教授に同理論を実践しているリハビリ特化のデイサービスを運営する医師をご紹介頂きました。この理論を私はまだ語れませんが、「歩けないから車いす」ではなくて、「歩けない原因を知り、あなたのペースでリビリして歩けるようになりましょう」といった前向きな現状維持でも低下でもない、改善スタイルが介護にもあることを新しく知り、介護の世界は広い!と、とてもやる気が出ました。

そして、来月から竹内理論を実践するデイサービスで働くこととなりました。

 

おめでとうございます!渡邊さんの関心から繋がりがどんどん広がっていて、凄いですね!そのご縁は舞い降りてきたのでしょうか。

自分から掴みました。相手は私に連絡する必要はないからこそ、私から行動して想いを伝えました。ここで繋がれた方々を私は尊敬しているし、みなさん、私を気持ちよく受け入れて下さいました。

 

渡邊さんにとってKAIGO MY PROJECTとはどんなものでしたか?

 

もし言うのだとしたら、私にとっては仕事を探す場でした。KAIGO MY PROJECTに参加していなければ、納得感を持ってデイサービスへのステップに進むことはなかったと思います。あと、自分を深めるきっかけになりました。とてもネガティブで、人の意見に左右されやすかったのですが、まず自分が自分を認めてあげるために、「自分のことを愛す。」ことが最終的なプロジェクトになりましたね。

 

自分のことを認めるのと認めないのだと、何か変わるのでしょうか。

 

私も全部受け止められているかと言われたら、そうではありませんが、受け止めなければずっと反発してしまい、嫌悪感や嫉妬が生まれ、苦しくなってしまいます。でも、「私はこういう一面がある。でもそれはそれで良い」って包み込んであげると、心が平穏なんですよ。

 

認めないと苦しい方向に進んで行ってしまうんですね。

 

そうなんです。自分の気持ちを自分が気付き、汲み取ってあげることが出来るようになるきっかけが、この場でした。それにカミングアウト出来る仲間がいたことは大きいですね。自分が苦しんでいたり、喜んでいたりする思いは意外と他の人も感じていることに気付くこともできました。とても面白く、やった甲斐がありました。

 

マイプロが背中を押してくれた。

すごく濃い3カ月間だったんですね。マイプロをやって何が変わりましたか?

 

自分の過去を見つめて、こんなにも色んな事があったらこんな人間が出来上がるよなって納得しました。「私の過去は大変だった。それならこういう私だからこそ出来ることってなんだろうね」って。マイプロが私の背中を押してくれました。自分史を深めるきっかけにもなり、自分で自分に興味を持てたし、今、自分の可能性っていっぱいあるなと思えています。

 

プラスの方向に進んで行っているんですね!お話を聞かせていただき、ありがとうございました!

 

この記事を書いた人

佐藤 亜美

佐藤 亜美Tsugumi Sato

介護職員HEISEI KAIGO LEADERS サポートメンバー

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