現役女子大生が立ち上げた、学生と福祉体験を“むすぶ”サービス-福祉人材不足問題解決の新たな糸口とは?
KAIGO MY PROJECT 21期|鈴村萌芽さん
日々、介護の仕事をしていて、「もっと利用者に向き合いたいのに時間がない!」、「やりたいことはたくさんあるけど実現できない!」といった想いを抱えることも。
2035年には79万人もの福祉人材が不足すると言われていて、今後ますます介護の仕事に“余裕”は生まれなくなっていくかもしれません。
しかし、介護職員以外の方が多くのサポートをしてくれるとしたらどうでしょうか?
状況は変わるかもしれません。
「意外にも、福祉に関心があって、社会貢献したいと考える学生は多くいます」
そう語るのはKAIGO MY PROJECT 21期に参加した鈴村萌芽(もえみ)さん(以下、もえみさん)。
学生と介護に特化したマッチングサービス「musbun」を立ち上げることで、福祉人材不足の課題解決を目指す
というマイプロに取り組まれています。
2021年11月20日にオンラインで開催されたKAIGO MY PROJECTのOBOGによるマイプロトークイベントでは、「musbun」をはじめたきっかけ、プロジェクトの詳細、動き始めて感じていることや今後のビジョンについてお話いただきました。
近所のおじいちゃんおばあちゃんに恩返ししたい
愛知県豊田市出身で、現在も豊田市に住んでいます。大学では、管理栄養学を専攻していますが、現在休学中で、「musbun」の立ち上げ準備をしています。ぞうさんが大好きで、ロゴのモチーフもぞうさんにしています。最近、就労継続支援B型事業所でアルバイトをはじめました。
「musbun」を立ち上げるに至った経緯については、このように語ります。
私は、こういう自然がいっぱいでおじいちゃんおばあちゃんがたくさん住む地域で生まれました。自分のおじいちゃんおばあちゃんはもちろん、近所のおじいちゃんおばあちゃんにもとっても可愛がってもらいながら育ててもらったので恩返しをしたいと思っていました。
そして、大学入学後福祉施設でアルバイトを始めます。
福祉とか介護とか無縁だったんですが、実際に施設に伺うと皆さん生き生きとされていました。
スタッフの方々は、忙しいながらも利用者さんに向き合っている姿がとても印象的でした。「自分でも何かできないかな」と思ったのが1番最初のきっかけでした。その後、福祉人材不足が深刻化していくという問題を知り、その解決に少しでも貢献することが自分のなすべき恩返しなのかなと考えるようになったんです。
学生と福祉施設を結ぶ
もえみさんは、どのように解決していこうとプランを立てたのでしょうか。
課題解決の糸口を見つけるためにヒアリングを重ねると、意外にも、福祉に関心がある学生は多く、社会貢献したいと思っている学生が多くいることがわかりました。その一方で、学生とつながりたい福祉事業所も多くあることを知りました。
そして、学生と福祉体験に特化した情報サイト「musbun」開設の準備を進めることに決めました。
福祉事業所からボランティア、インターン、アルバイトやイベントなどの情報を「musbun」に登録していただき、それを見た学生が応募することで両者を“結ぶ”サービスになっています。
学生はエリアで選べたり、高齢者分野・障害者分野・児童分野等の分野から選べたり、ボランティア・アルバイト・インターンといった活動の仕方から選べたりして、条件に合った活動先が一覧ででるような仕組みを考えています。
学生が福祉現場とつながりたいと思っても、情報が多く、整理されていないためわかりづらい現状があります。1つにまとまっていて、欲しい情報だけすぐに入手できるのはありがたいですね。
さらに、学生が福祉事業所を身近に感じ、活動してみたいという想いを抱きやすくなる工夫も考えています。
事業所さんや、学生に寄り添ったサービスを作れるように、サイトには事業所の雰囲気、どんな想いで働いているスタッフがいるのか、どんな想いで立ち上げられたのか等しっかり掲載していきたいです。
また、福祉事業所は、介護にかかわる活動に限定しないで募集することができるそうです。
学生が少しでもかかわるきっかけを作りたいので、例えば「マルシェ出店の時のチラシをデザインしてくれる学生を募集する」こともできます。
学生が福祉事業所を訪れる価値
活動するなかで、学生が福祉施設を訪れることの新たな価値に気付いたそうです。
福祉事業所の方から、
・学生が事業所に来ることで、利用者さんの笑顔がいつもより増えた
・自分の施設の改善点や魅力に気付いた
・地域に開かれた施設になるきっかけとなったといったお声もいただいています。
現在、「musbun」は、学生の事前登録がスタートしています。
福祉にかかわる全ての人に笑顔を届けたい
今後のビジョンについてもお話してくださいました。
まず、学生が気軽に福祉体験できるような環境を整えます。次に、学校、行政と連携し、「福祉体験から就職」という大きな流れを作っていきたいです。最後に、地域社会・地元企業とも連携して“地域共生”を作っていきたいという想いがあります。そして、福祉人材不足を解消して、福祉にかかわる全ての人に笑顔をお届けしていきたいと思っています。
KAIGO MY PROJECTを通して
KAIGO MY PROJECTの感想については、このように語られました。
素敵な想いを持った同期メンバーと出会えたことが自分のなかでとても価値あることでした。毎回、刺激をいただいていました。あと、運営さんとメンターさんがすごく自分たちに寄り添ってくれていたので、楽しかったです。自分で活動していくなかで、しんどい時や大変だなと思う時はあるんですけど、マイプロで自分の想いを深掘って下さったおかげで、「どうして自分がやりたいのか」ということを常に考えながら進むことができるようになりました。これからもっと大変なことが出てくると思いますが、自分の想いを常に忘れずに持っておくのはすごく大切だと学べました。
「福祉に興味があるけど一歩踏み出せない学生」と「学生に来てほしい福祉事業所」。
両者のマッチングがスムーズになり、活発化すると介護業界が一気に明るくなることを期待できるワクワクする発表でした。
この発表後、11月22日、もえみさんは株式会社musbunを設立し、musbunを法人化されました。
また、経済産業省が主催する「ジャパンヘルスケアビジネスコンテスト(JHec)」のファイナリストに選出され、1月14日に最終プレゼンがあります。
物凄い勢いで目標に向かって進まれている様子が伝わってきますね。
KAIGO MY PROJECT 21期生のもえみさんのご活躍を心よりお祈りしています!
開催概要
日時:11月21日(日) 19:30~21:30
場所:オンライン(Zoom配信)
KAIGO MY PROJECTとは?
KAIGO MY PROJECTは、自分自身の想いや問題意識をもとに、何か新しいことを始めてみたい人、あるいは既にはじめている人を応援する連続ワークショップ。
https://heisei-kaigo-leaders.com/projects/kmp/
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