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コロナ禍の介護現場における“距離“について再考しよう!(KAIGO LEADERS FORUM 2020 イベントレポート③)

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KAIGO LEADERS FORUMとは、介護や高齢者支援・まちづくりの分野で様々な実践を進める若きリーダーたちが集い、参加者の皆さんと一緒に、これからの超高齢社会のあり方を考えるイベントです。

今年のテーマは、「WITHコロナ時代の介護を考えよう。

WITHコロナ時代の「介護」のあり方に悩んでいる方も多いと思います。

KAIGO LEADERS FORUM2020は、ゲストのお話から共に考え、これからの社会を生き抜くヒントをつかむ時間を4週連続オンラインでお送りしました。

3回目は、7月18日に開催された『ソーシャルディスタンス介護』。

その模様をレポートします!

登壇者は、社会福祉法人愛川舜寿会 常務理事 馬場拓也さんです。

 

ソーシャルディスタンス介護

新型コロナウイルスの感染対策として「ソーシャルディスタンス」という言葉をよく耳にするようになり、人と人とが距離を取ることを意識するようになりました。しかし、介護の仕事は、利用者と身体的距離を近づけることを避けられませんし、利用者家族や地域とのつながりを大切にしている介護事業所も多いです。そんな状況のなかで生まれたのが、「距離の葛藤」。介護職と利用者の距離、家族との距離や地域の人との距離等を見直す必要が生じました。そんな今だからこそ、“距離”についてみなさんと考えたいと思い、「ソーシャルディスタンス介護」というテーマを設定しました。

 

登壇された馬場さんは、新型コロナウイルス感染症が感染拡大する前から、“距離”について考え、プロジェクトを実行していました。では、コロナ禍における“距離”についてどのような考えを持たれているのでしょうか?

馬場さんのこれまでの経歴、法人の取り組みやプロジェクトについては、過去に馬場さんが登壇されたPRESENTのイベントレポートをご覧になってください。

美しい景色を探すな。景色の中に美しさを見つけるのだ。(PRESENT_ 21 馬場拓也)

今回のファシリテーターは、KAIGO LEADERS発起人の秋本可愛です。

 

ミノワホームが取り組んだ、地域との“距離”を再考するプロジェクト

秋本:馬場さんは建築家・造園家・大学生たちと共に、特養を囲う壁を取り払い、空間デザインから地域との“距離”を再考するプロジェクト【距Re:Design Projectを実施していましたね。

 

馬場:特養と地域の“心理的距離”について、このプロジェクトでは考えてきました。「介護職員はソーシャルディスタンスを保てない」という意見がありますが、「ソーシャルディスタンス」ではなく「フィジカルディスタンス」のことを言っているのではないでしょうか。

 

 

 

ソーシャルディスタンスの本来の意味はこちらです。

コロナ禍のミノワホーム

秋本:新型コロナウイルス感染症が感染拡大し、馬場さん自身に何か変化はありましたか?

 

馬場:僕自身はおもしろいことに、外出自粛をすることで出張などが激減し、地元とのかかわりが増えました。

 

秋本:介護現場にはどのような変化があったでしょうか?

 

馬場:緊張感が続いている状況です。職員には感謝しかないですね。
職員たちが主体的に動いて情報を集め、2020年4月初旬には文書で対応の方針を出しました。
新型コロナウイルスの情報は随時アップデートされていくので、柔軟な向き合い方が必要だと感じました。
未曾有な世界的パンデミックで、世界中が揺れているなかで、柔軟なマインドセットでいることが大切だと思います。

 

秋本:現在の対応について教えてください。面会の制限はされていますか?

 

馬場:基本的には面会自粛をしていました。緊急事態宣言が解除されてからは、マスク着用と検温を実施した上で、庭等のスペースにて、ある程度の距離を保ちながら面会をするなど、段階的に開いていきました。
状況によっては、また閉じていくかもしれません。

 

 

地域の人との距離感は変わらない

馬場:ミノワホームの庭には、一服しているおじさん・犬の散歩の途中で休憩している人・読書している人やキッチンカーで唐揚げ弁当を買って食べている人が、変わらずにいますね。アフターコロナでも変わらない部分があると思います。

 


秋本:ミノワホームは、地域で培われたものがあるから、あまり変化がないということなのではないでしょうか。

 

 

新型コロナウイルス は、思考させるウイルス


馬場:ウイルスを完全に持ち込まないということは不可能だと思います。だからといって、軽視するわけではないです。
しかしながら、「1介助、1手洗い」なんてできる職員はこの世にはいません(笑)。あまりにも現実離れしたものでは、上手くいきません。現実的に最善を尽くすことを考えた結果、「1介助、1アルコール消毒ならできるよね」、ということで、職員がアルコール消毒をポケットに入れて、介助することにしました。

今回の新型コロナウイルスほど、人類に思考させるウイルスは無いのではないでしょうか。人類が、この新型コロナウイルスについて、「何を思考し、どのような答えを導き出すのか」にとても興味があります。

 

コロナ禍においても“心理的距離”は縮められる


秋本:新型コロナウイルス感染症が感染拡大する前からICTツールを積極的に活用されていましたが、コロナ禍では、どのように使用されていましたか?

 


馬場:職員と家族をつなげるプロジェクトを実施して、全員にスマホ1台を渡しました。SNSみたいに楽しみながら介護記録をすることができないだろうかと前々から議論していたのです。

(職員や家族が利用者の様子をリアルタイムで共有することができ、コメント投稿や「いいね」ボタンが押せるSNSのようなケアコラボという介護記録を用いた事例をいくつか紹介してくださいました。)

ケアコラボを活用することで、コロナ禍においても、利用者の様子をリアルタイムで家族に伝えられました。家族からは、「会っていないけれど、会っているような気持ちになる」という言葉をいただきました。

例えば、朝の4時にオムツ交換している記録を家族が見たりすることもできます。

家族は、ありがたいと思いますよね。今まで、ブラックボックスのなかで福祉職は粛々と仕事をしてきましたが、もっと正当に社会に伝えていく必要があると思います。それこそが、福祉職の社会的地位の向上につながると思います。

また、新型コロナウイルス感染症が感染拡大したことにより、みんなのITリテラシーが上がっていますよね。この急加速はすごいですね。もっと人に優しくなる社会になるんじゃないかな。


秋本:今がチャンスということですね。

 

“身体的・物理的距離”があっても、IT・ICTの力を活用することで“心理的距離”を縮め、皆でケアすることができるということを感じられました。

 

馬場さんからのメッセージ

最後に馬場さんからのメッセージを紹介します。

コロナによって、「本質ってどこにあるんだっけ?」「それでいいんだっけ?」と、改めて考えさせられています。

本当に大事なことって何だろうと俯瞰して考えています。コロナの感染対策が本質ではなかったりしますね。

人類史のなかで、ペストやスペイン風邪等が流行ったときは、何かが前に進むときでもありました。大小様々な革命が起こるのではないかと思っています。

どういう風に前を向いていくのかに関心があります。

 

新型コロナウイルス感染症について考えると、マイナスな感情ばかり湧いてきてしまうかもしれません。

そんな時こそ、俯瞰して、いかに前に進むのかを考えていきたいですね。

 

ゲストプロフィール

馬場拓也 社会福祉法人愛川舜寿会 常務理事
1976年神奈川県生まれ 大学卒業後イタリアのファッションブランド「ジョルジオ アルマーニ」にてトップセールスとして活躍した後、2010年34歳の時に2代目経営者として現法人に参画。2015年 全国20の社会福祉法人共同プロジェクトで写真×論考の書籍「介護男子スタディーズ」を出版。2016年には建築家・造園家・大学生らと共に、特養を囲う壁を取り払い、空間デザインから精神的“距離”を再考するプロジェクト【距Re:Design Project】にて「ミノワ座ガーデン」と「ミノワセパレイ戸」を完成させた。2017年より公民館にて地域の語り場「あいかわ暮らすラボ」を運営。2019年「カミヤト凸凹保育園+凸凹文化教室」を開園。障害の有無によらず0~18才が通うインクルーシブ保育を実践している。日本社会事業大学専門職大学院 福祉マネジメント修士課程修了。編著に『職場改革で実現する 介護業界の人材獲得戦略』(幻冬舎、2015)、『わたしの身体はままならない』(河出書房新社、2020)がある。

 

開催概要

日時:2020年7月18日(土) 19:00~21:00
場所:オンライン(Zoom配信)

 

この記事を書いた人

森近 恵梨子 Eriko Morichika
twitter/note

株式会社Blanketライター/プロジェクトマネージャー
社会福祉士/介護福祉士/介護支援専門員

介護深堀り工事現場監督(自称)。正真正銘の介護オタク。温泉が湧き出るまで、介護を深く掘り続けます。
フリーランス 介護職員&ライター&講師。


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