活動内容 ACTIVITIES

より良い社会の実現に挑む全ての人のための、限界を超える挑戦術。(PRESENT28武藤将胤)

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PRESENT REPORT 東京 Archive オンライン

「やりたいことがあるけど、なかなか挑戦できない」
「やってみたいけど、私には難しいかもしれない」
何かに挑戦する時、不安や葛藤がつきまといます。
PRESENT28では、そんな気持ちが一気に吹き飛ぶお話を伺うことができました。
2021年12月19日に開催されたPRESENT28のゲストにお迎えしたのは、一般社団法人WITH ALS 代表理事の武藤将胤(むとう まさたね)さん。

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8年前、広告会社でプランナーとして活躍されていた中、27歳で突如、ALS(筋萎縮性側索硬化症/きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)と宣告を受けたのです。
ALSについて武藤さんはこのように説明しました。

体を動かす運動神経が徐々に衰えていく難病です。
手足を動かす自由も、声を出す自由も残酷に奪われていきます。
意識や五感、知能の働きは正常のまま。発症してからの平均余命は3~5年と言われ、世界で約35万人、日本にも約1万人の仲間がいます。
極めて進行が速く、現在、有効な治療法は、まだ確立されていません。

ALSの発症をきっかけに武藤さんは、全ての人にとってBORDERLESSな未来をつくる一般社団法人WITH ALSを立ち上げ、テクノロジーやクリエイティブの力で新たな可能性を切り拓き、社会を明るくしています。

僕たち一般社団法人WITH ALSは、ALSの課題解決を起点に全ての人が自分らしく挑戦できるBORDERLESSな社会を創造することを目指し、エンターテイメント、テクノロジー、ヒューマンケア(介護)の分野で活動しています。

例えば、眼の動きだけでDJとVJを同時にプレイするシステムを開発し、手や足が動かなくなった今、EYE VDJ MASAというアーティストネームで、国内外のフェスで活躍中です。今回のイベントも、武藤さんがBGMを選曲し、素敵な空間をつくってくださいました。

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また、気管切開手術により肉声を出すことができなくなってからは、音声合成ツールと視線入力ツールを掛け合わせたソリューションを共同開発し、視線入力で”自分の声”を使って会話することを実現しました。今回も、このテクノロジーを用いてお話してくださったのです。
他にも、ユニバーサルファッションのプロデュース、重度訪問介護事業所等多岐に渡るプロジェクトを運営しています。
最近では、目標に掲げていた東京2020パラリンピックの開会式に出演。
ロックバンドが演奏していたデコトラの先頭に乗り、その存在感がSNSで話題になりました。

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この先、眼を動かすことができなくなった未来を見据えて、脳波で意思伝達をする研究にも取り組まれています。

『より良い社会の実現に挑む全ての人のための、限界を超える挑戦術。』

このタイトルで会場とオンライン同時開催されたPRESNT28では、武藤さんが難病ALSになったからこそ気付けた武藤さん流の8個の限界を超える挑戦術について、活動事例を交えながらお話してくださいました。

限界を超える挑戦術①

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1つめの限界を超える挑戦術について、こう語ります。

人は誰しも有限な時間の中で生きている事を毎朝再認識してください。広告マンとしての仕事への挑戦が楽しくて仕方がなかった27歳の僕に、2014年のある日突然、突き付けられたのはALSの宣告でした。
「は?」
「ここで俺の人生もう終わり?」
と当時は頭が真っ白になったのを今でも鮮明に覚えています。

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武藤さんは、そのショックを乗り越えていくのです。

それでもどん底の中から必死に前を向いて、僕は決意しました。
僕はALSと共に挑戦を続ける。
どんな状況になっても、自分らしく挑み続けると。
クリエイティブの力で、ALSの未来、社会を明るくするアイディアを形に。
それが僕の選択した、有限な時間の生き方でした。

皆さんはどのような“有限な時間の生き方”を選択しますか?

限界を超える挑戦術②

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限界を超える挑戦術②は、「制約から人は進化する 自身の制約を武器に変えていけ」です。

これは僕の仕事のマインドです。自身の困難や制約をアドバンテージに変え、制約から解決するためのアイディアを形に。
ALSの困難からイノベーションを生み出したい
と考えています。

その挑戦術の実践によって生み出した主な活動について紹介がありました。
詳しくは、こちらの動画でチェックしてください。
ALSを発症して約2年半が経過し、昨日できていたことが今日できなくなる日々と戦っていた頃。
DJをしていた武藤さんは自分の感情をどうしても音楽にしたくて、「眼でDJをしよう」というプロジェクトを開始しました。ALS患者が発症後も比較的正常に機能を保つことができる眼球の動きに注目したのです。

眼の動きだけで様々な電子機器をコントロールできるアプリケーションを開発しました。そのシステムで僕自身も音楽活動を行っていて、国内外の音楽フェスなどでパフォーマンスしています。

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限界を超える挑戦術③

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挑戦術③は、「挑戦をやり抜くために、とことん自身の好きと向き合え」です。

よく僕の仕事量を見た人が驚いて「なんでそこまでやれるの?」と聞かれることがあります。その答えはシンプルで、「この仕事が結局好きだから」です。

武藤さんは、大学生の頃から音楽とファッションが好きです。その頃から“自身の好き”と向き合い追求し続けた結果、実践しているプロジェクトがあります。

視線入力で音楽とファッション作品制作に挑んだプロジェクトを発表しました。
音楽はロックバンドandropと共に制作。アパレルにプリントするART作品は世界的なフラワーアーティストAZUMA MAKOTOとのコラボレーションです。オリジナル楽曲の世界観を表現したART作品はALSチャリティーアパレルにして、販売しています。是非ホームページを見てみてください。

アパレル収益は、ALS治療法の研究開発費用としての寄付、テクノロジー研究費として大切に活用されているとのこと。

“作詞、アパレル、デザインも気が遠くなる作業なので、心から好きでなければ完成することはなかったと思います。

皆さんの好きなことは何ですか?

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今に挑む挑戦者に捧ぐ曲として、『EVERYONE,CHALLENGER.』をご紹介いただきました。

限界を超える挑戦術④

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挑戦術の4つめは、「身の周りにあるテクノロジーを積極的に有効活用し、不可能を可能に変えていけ」です。

今、話をしているこの声も、まさに過去の挑戦によって生まれたものなのです。

1つの動画の紹介がありました。

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「声を発せなくなると、もう自分の声で発話することは不可能」というのが常識でしたが、武藤さんは覆したのです。
音声合成技術「コエステーション」で発声できるうちに声を残しておくことで、ALS患者が自分の声で発話することができるサービスを研究・開発しました。

このプロジェクトはクラウドファンディングで実現しました。今では多くの患者さんが使っています。皆さんの声も作れるので、試してみてください。

限界を超える挑戦術⑤

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5つめの挑戦術は、「どんな挑戦にも失敗は付き物、失敗から学んで改善を繰り返せ」です。
武藤さんは、ある取り組みについて、失敗の連続であったと振り返ります。
それは、「脳波でのコミュニケーションの実現」です。
ALS患者が一番恐怖を感じるのは、TLS(Totally Locked in State)という、眼球運動を含めた、全ての筋肉運動が停止して完全に周囲との意思伝達を奪われてしまう状態になること。そうなると、自分の意思を伝えることが困難になります。その課題解決を目指して、武藤さんは電通サイエンスジャムと共に脳波のコミュニケーションツールを開発しています。

3年以上研究開発に取り組んでいますが、失敗の連続でした。でも本当に大切なのは、その技術を求めている人たちを想像しながら改善を繰り返していくことです。全ての失敗が必ず皆さんの経験値になるので安心して挑戦してください。

2019年末のMOVE FES.では、脳波を活用したラップパフォーマンスを世界初披露して、エンターテイメント領域に活用しました。
脳波のテクノロジーに興味のある方は、こちらの動画を是非ともご覧になってください。

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限界を超える挑戦術⑥

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6番目の挑戦術は、「より大きな挑戦に挑むために仲間を探し続け、共に挑戦を通じて信頼を育め」。
武藤さんの様々なプロジェクトは、テクノロジーの力を活用しただけでは成り立ちません。

介護ヘルパーや学生インターンなど様々な人の支えがあるからこそ、仲間と挑戦を続けられています。これからも僕らは、テクノロジー×人の力で、全ての人が自分らしく挑戦できる未来を目指していきます。

全ての人が自分らしく挑戦できるように、具体的には、重度訪問介護事業所WITH YOUを経営されています。

僕のチームでは大学生など未経験者の仲間もたくさん活躍してくれています。介護業界全体で、介護人材不足の社会課題解決に取り組んでいきましょう!

重度訪問介護事業所WITH YOUの挑戦について、もっと知りたい方は、こちらの動画を是非ともご覧になってください。

限界を超える挑戦術⑦

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挑戦術の7つめは、「挑戦の数だけ人は進化する 臆することなく夢を掲げ、仲間と共に挑み続けろ」です。
武藤さんが掲げていた大きな夢の1つは何でしょうか。

長年の僕の目標は、オリンピック・パラリンピック開会式の舞台で健常者と障がい者の垣根を越えて心を動かすパフォーマンスで日本から世界に「BORDERLESSエンターテイメント」を届けることでした。

「BORDERLESSエンターテイメント」として、こちらの動画をご紹介いただきました。

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そして、本記事の冒頭で紹介したように、武藤さんは夢を実現させたのです。

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オリンピックでは聖火ランナーとして希望の火を繋げ、パラリンピック開会式では主要キャストとして世界に希望を届ける事が出来ました。歴史上初めて、気管切開している重度障害を持つ患者が、開会式に立った瞬間だったと思います。開会式ではいつか空を飛ぶことを夢見る主人公の少女に希望を届ける光の集団のリーダー、デコトラのブーンというキャラクターを演じさせてもらいました。実は音楽面でも、DJとしてデコトラを表現するサウンドを組み込んでいました。是非とも開会式を見直してみてくださいね。

限界を超える挑戦術⑧

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最後の8つめの挑戦術は、「僕なら出来ると最後まで信じ抜け 信じれるまで行動し尽くせ」です。

今の僕ら一人一人ができることを続けていくことが、必ず未来につながっていきます。これからも僕らは、ALSが治る未来を実現するために、認知・理解を広げる挑戦を続けていきます。

「KEEP MOVING」をスローガンに、EYE VDJとしてクリエイティブの力でALSの認知・理解を広げるため、2018年にミュージックフィルムを制作しました。
『せりか基金』と共に、ALS治療薬の研究開発費を集め、「ALSが治る未来」を実現するため、行動し続けています。
また、ALS啓発の音楽フェス MOVE FES.も開催しています。2021年12月9日に開催されたMOVE FES.の様子はこちらです。

今の一瞬一瞬を大切に

終わりに、参加者の皆さんにメッセージをくださいました。

僕は今でも、きっと僕らの人生に限界なんてないと信じています。8つの限界を超える挑戦術で、今のこの一瞬一瞬をどうか大切に挑んでください。心から応援しています。有限な時間を共に過ごせて嬉しかったです。最後までありがとうございました。

「NO LIMIT、YOUR LIFE.」

今回のイベントは、久しぶりにリアル会場とオンラインのハイブリット開催でした。兵庫県のはっぴーの家ろっけんの首藤義敬さんをはじめとした皆さまが足を運んで下さり、小学生の参加等、幅広い年齢層でのイベントとなりました。子ども達が目を輝かせながらメモを取る姿に、メンバー一同胸が熱くなりました。

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武藤さんのEYE VDJのPLAYスタイルにも、皆様、興味津々でした。
皆様が、「挑戦したい」と思えるきっかけの1つになっていたら嬉しいです。

ゲストプロフィール

武藤 将胤(むとう まさたね)
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一般社団法人WITH ALS 代表理事
COMMUNICATION CREATOR / EYE VDJ
※EYE VDJ:視線入力でDJ、VJをPLAYする音楽活動を行う。
株式会社オリィ研究所 当事者顧問

1986年LA生まれ、東京育ち。
(株)博報堂で、様々なクライアントのコミュニケーション・マーケティングプラン立案や新規事業開発に従事。2013年に難病ALSを発症、2014年に宣告を受ける。 ALSになったことをキッカケに一般社団法人 WITH ALSを2016年に立ち上げ。現在は、クリエイティブの力で、「ALSの課題解決を起点に、全ての人が自分らしく挑戦できるBORDERLESSな社会を創造する。」ことをミッションに活動しエンターテインメント、テクノロジー、介護の3領域で課題解決に取り組んでいる。
書籍:『KEEP MOVING 限界を作らない生き方』

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開催概要

日時    :2021年12月19日(日)19:30〜21:30
場所    :都内会場及びオンライン
       会場 social hive HONGO(東京都文京区本郷3丁目40−10 4F)

PRESENTについて

2025年に向け、私たちは何を学び、どんな力を身につけ、どんな姿で迎えたいか。そんな問いから生まれた”欲張りな学びの場”「PRESENT」。
「live in the present(今を生きる)」という私たちの意志のもと、私たちが私たちなりに日本の未来を考え、学びたいテーマをもとに素敵な講師をお招きし、一緒に考え対話し繋がるご褒美(プレゼント)のような学びの場です。

【オンラインコミュニティ「SPACE」について】

KAIGO LEADERSのオンラインコミュニティ「SPACE」に参加(月額2,000円)すると、本イベントPRESENT28のアーカイブ動画を視聴することができます。レポートに入っていない内容や質疑応答もご覧になっていただけます。
また、今後開催されるKAIGO LEADERS主催のオンラインイベントに無料で参加いただけます(一部イベントを除く)。さらに、これまでの他のイベントアーカイブ動画を視聴することもできます。
オンラインコミュニティ「SPACE」詳細はこちら
https://heisei-kaigo-leaders.com/projects/space/

この記事を書いた人

morichika

森近 恵梨子 Eriko Morichika
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株式会社Blanket ライター/プロジェクトマネージャー
社会福祉士/介護福祉士/介護支援専門員
介護深堀り工事現場監督(自称)。正真正銘の介護オタク。温泉が湧き出るまで、介護を深く掘り続けます。
フリーランス 介護職員&ライター&講師。

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