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何もしないではなく、何ができるか。コロナ禍のあおいけあ・はっぴーの家ろっけんの今に迫る!

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KAIGO LEADERS FORUMとは、介護や高齢者支援・まちづくりの分野で様々な実践を進める若きリーダーたちが集い、参加者の皆さんと一緒に、これからの超高齢社会のあり方を考えるイベントです。

今年のテーマは、「WITHコロナ時代の介護を考えよう。

緊急事態宣言が解除された今もなお、連日のように「新型コロナウイルス感染症感染拡大!過去最多の感染者数!」といったニュースを耳にすることが多く、予断を許さない状況が続いています。

WITHコロナ時代の「介護」のあり方に悩んでいる方も多いと思います。
KAIGO LEADERS FORUM 2020は、ゲストのお話から共に考え、これからの社会を生き抜くヒントをつかむ時間を4週連続オンラインでお送りしました。

1回目は、7月4日に開催された『介護現場の変化に迫る!あおいけあ・はっぴーの家ろっけんの“今”』
その模様をレポートします!
登壇者は、株式会社あおいけあ代表取締役 加藤忠相さん株式会社Happy代表取締役 首藤義敬さんです。

世界からも注目を集める介護施設「あおいけあ」、福祉の領域を超えて注目が集まる介護付きシェアハウス「はっぴーの家ろっけん」。2つの施設に共通するのが、「地域住民とのつながり」。要介護者と専門職だけの空間に閉ざさず、地域住民が気軽に立ち寄り、思い思いに過ごせる場の可能性に多くの人が注目してきました。しかし、新型コロナウイルスの影響で物理的に「つながり」を遮断せざるを得ないなか、2つの施設の“今”に迫ります。

過去にお二方に登壇していただいた際のイベントレポートも是非ともチェックしてみてください。

株式会社あおいけあ代表取締役加藤忠相さん
※KAIGO LEADERSの学びのプログラム【PRESENT】

高齢者のお世話は介護じゃない。誤解だらけの「介護職」の本当の役割とは?

※KAIGO LEADERS×文京区 介護人材育成プログラム
誰もが暮らしやすい地域社会のために。今、求められる介護職の在り方とは?

※KAIGO LEADERS FORUM 2019
あおいけあ流マネジメント〜世界が注目するケアの裏側にある一人ひとりがリーダーシップを発揮する組織づくりとは〜

株式会社Happy代表取締役 首藤義敬さん
※KAIGO LEADERS FORUM 2019
週に200人以上集まる多世代型介護付きシェアハウスが面白すぎる!

まずは、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響を受け、それぞれの事業所がどのような状況だったのかを教えていただきました。

WITHコロナ時代の“介護”〜あおいけあの場合〜

あおいけあの新型コロナウイルスへの対応は以下の通りです。


・手洗いと消毒の徹底
・換気の徹底
・スタッフのこどもを伴っての出勤の奨励
・(グループホームをのぞく)小規模多機能事業の通所の縮小、並びにスタッフ配置の縮小により3密を避ける等。

実際にスタッフの方に向けて送られたメッセージの内容も公開してくださいました。

本人家族に発熱等の感染の疑いがある場合は自宅待機をスタッフにお願いし、その間に休業した場合は給与を保障するといった対応をされていたそうです。
本当に困ったのは、「マスクが無い」という事態。そのようなピンチをいかに乗り越えたのでしょうか。

じいちゃんばあちゃんがマスクを作り始めました 笑


いかにも、「あおいけあ」らしい乗り超え方に、心が暖まりました。

近所の子どもたちが通っていた駄菓子屋は閉鎖することに決めました。
しかし、その決定を覆す人が出てきたのです。

駄菓子屋部長のじいちゃんは、「子どもが行くところが無くなるのは可哀そうだ」と言い、晴れている日は駄菓子を外に持って行って売っていました。

外出についても、「一切外出しないようにする」という対応ではありませんでした。

「繁華街とかスーパーとかそういうところに行くのは辞めましょう。神社とか公園への散歩は行こうね」という確認をしました。天気の良い日に、室内にずっといる方が感染する可能性が高いと思いますしね。

あおいけあで、毎年開催されていたビッグイベント「流しそうめん大会」は、今年は中止にしたそうです。
代わりに「綿菓子大会」が催されました。また、「流しそうめん大会」で販売していたTシャツの購入希望があり、現在作成しているそうです。

(注)写真をみると、悲しみにくれているようには見えません 笑

新型コロナウイルス感染症拡大という非常事態のなか、必要な対応は何かを考え、実行しつつも、あおいけあにかかわる全ての人たちと共に「あおいけあの正解」を模索し続ける姿がとても印象的でした。また、一律に何もかも中止にするのではなく、本当にリスクが高いことを見極めながら、あおいけあが大切にしていることをしっかり守っている様子を伺うことができました。

新型コロナウイルスを過度に恐れることで自宅での閉じこもり状態が続くと、結果として、虚弱が進んでいたり、自宅では水分摂取が十分にできず脱水症状を起こしたり、ご家族もストレスがたまって、認知症状が進行するケースもみられましたので、徐々に元に戻していく方針です。

加藤さんから介護職員にメッセージもいただきました。

飲み会に行けないとか、僕たちも辛かったでしょう?でも、僕たちの場合は“自粛”。同じように、おじいちゃんおばあちゃんも外に出られなくて辛い思いをするんです。しかも、“自粛”ではなく、他人に制限されています。それはおかしいことだと、介護職員は改めて考えてほしいです。庭や公園に出られなくなることで、肺炎が進んだり、筋力が低下したり、それによってご飯が食べられなくなったり…外出することより、外出しないことの方が遥かにハイリスクでしょう。

制限があるなかでも、いかに楽しむか?
このような状況のなかでは、どうしても忘れがちですが、とても重要なことを考えるきっかけとなるお話でした。

また、新型コロナウイルス感染症に感染するリスクだけではなく、行動を制限することによるリスクについてもしっかりと考えていきたいですね。

WITHコロナ時代の“介護”〜はっぴーの家ろっけんの場合〜

一方、はっぴーの家ろっけんはどのような状況だったのでしょうか?
はっぴーの家ろっけんと言えば、「週に200人以上集まる多世代型介護付きシェアハウス」として有名です。

「そもそも三密とはなんなのか?」調べてみると、「まさに、うちのことやん!」って(笑)。
いろんな人からはっぴーの家がクラスターになっていないかという心配のメッセージをいただきましたが、今のところ大丈夫です(笑)。

首藤さんは、これからお話いただくテーマについてこう語りました。

新型コロナウイルス感染症が感染拡大してバレたのは、未来なんて予測できないということ。未来は“今”この瞬間の積み重ねなんです。だからこそ、僕は瞬間・瞬間を大事に仕事をしています。そして、時間って平等だと言われてきたと思うんですが、時間の価値は平等じゃない。そんな話をしていきたいと思います。

 

はっぴーの家には、「はっぴーの総量をふやす」という考え方があります。

ある方に対して、どんなケアをすればいいかわからなかったので、関わる登場人物を増やしました。そして、「全体にとってはっぴーを増やすとは何か?」を追求することによって、その方に与えるはっぴーの総量も増えるだろうという仮説があります。

しかし、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響を受け、「登場人物を増やす」ことが難しくなったのではないでしょうか?

首藤さんは、そんな状況でも、できることはたくさんあったと振り返ります。

世の中でZOOMが流行りましたよね!「ZOOM疲れ」なんて言葉も出てきました。そこで、おじいちゃんおばあちゃんもZOOM疲れさせたれ!と思ったんです(笑)。家族さんとの面会とかもオンラインで全然いけます。僕たちが楽しんでることを、高齢者も楽しめる。

その他に、オンライン診療もはじめました。軽井沢のドクターとZOOMで人生会議をしたり…。オンラインが解禁すると医療の選択肢が広がることに気付きました。

さらに、はっぴーの家でつくられたリアルなコミュニティをオンライン化する取り組みもあったそうです。はっぴーの家にかかわる人の悩みを解決したり、コミュニティに属す様々な人が先生になるオンラインスクールをつくったりしているそうです。なんと、タイからの参加者もいるそうです!

社会全体が自粛ムードのなか、さらにコミュニティを拡大させていて、すごいですね!

今この瞬間、ソーシャルディスタンスとか、三密を意識しながらでもできることは、実は沢山あります。みんな諦めているなと思いますよ。

最後に、“時間の価値”についてお話してくださいました。

時間の価値は変わります。朝の10分と夜の10分は価値が全然違いますよね。朝の10分の方が大事。時間は世代や状況によって変わる相対的なものなのです。

おじいちゃんおばあちゃんと僕らとでは時間の価値が違う。僕らは1年後生きている確率が高いですけど、おじいちゃんおばあちゃんは1年後、半年後、3か月後生きているか分からない状況。自粛って大事だけど、その3ヶ月や半年間何もしないってどうなんでしょうか?

スタッフに話します。
僕らの1時間とおばあちゃんの1時間は違うよ。だからこそ今、「何もしない」じゃなくて、今、「何ができるのか」を考えることが俺らの仕事。人の時間の価値を良いものにするのも、悪いものにするのも俺らの仕事次第。職場によってできること・できないことはあると思いますが、例えば「1日の声かけを増やす」だったり、瞬間・瞬間の価値を上げることはできると思います。

はっぴーの家ろっけんでは、新型コロナウイルス感染症感染拡大を契機に考える事が増え、新しいアイディアが生まれ続けているとのこと。「自分の事業所では何ができるだろう」と、もっと考えてみたくなる、そんなお話でした。

参加者の皆さんからいただいた質問を、KAIGO LEADERS発起人の秋本が代表して、お二方にお伺いしました。

Q&Aコーナー

新型コロナウイルス感染症が感染拡大するなかで、利用者家族に対してどのように対応してきましたか?また、何を大切に関係性を構築していますか?

 

何がリスクを低減するかというと、「家族との信頼関係構築」だと思っています。むしろ、他にリスクを下げるものは無いと思っています。何かを制限することがリスクマネジメントだとは思っていません。家族によっては、警戒心が強く心配する方もいらっしゃいますけど、コミュニケーションはしっかり出来ます。
その際、医療従事者と話をする等の機会を持ち、正しい情報を取り、論拠を示して話せるようにしておくと良いと思います。

 

スタンスを提示するとが大切だと思いますね。「我々は、この件に関してはこう思っています」と話しができる関係性を構築していきます。「お互い同意のうえで何を選んでもらうのか?」「責任は誰がとるのか?」それをちゃんとすれば良いなと思います。

 

「自分が人に感染させてしまうことが怖い」と思っている介護職員がいました。そのような職員のメンタル面への対応はどうしていましたか?

 

こちらの考えていることを、会った時に直接話しをするようにしていました。不安な状況があれば、話せる状況をつくりたいと思っています。

 

悲観的ではなく、いかにデータを基に冷静に判断できるようにすることが大事かを精神的に余裕があるスタッフには話しています。

 

これから「地域の人たちとのかかわり」はどう変わっていくと思いますか?

 

選択してもらうしかないかなと思います。僕らは僕らのスタンスでやっていきます。僕たちは地域をつくっているのではなくて、あくまでただのプラットフォームです。地域の人はそこに来たければ来るでしょう。それこそ、はっぴーの家みたいに、「あそこに行けばなんとかなる」と、見つけるようになるでしょう。

 

WITHコロナ時代のなかで、リーダーに求められることはなんでしょうか?

 

大きな社会を作る時代は終わりました。介護をやっている人も含めて、日本は恵まれていると思います。
医療や介護を受けられて、簡単にサービスを買うことが出来て…。でもあなた幸せですか?100%幸せって言える人は少ないです。これからは、1人ひとりの「こう暮らしていきたい」という独自の選択肢を拾っていく時代になると思います。
そのためにも、自分とその周りの人たちをもっとよく見ることが求められます。
何に困っているか?そこにまだ届いていないニーズがあります。

 

今日参加している人たちは、社会に対してインパクトを起こしたいと思っている人が多いと思うけど、僕は当たり前だと思うことを当たり前にやっています。当たり前だと思う事を地道にブレずにやっていき、言語化していくことで評価されます。

 

最後に参加者へのメッセージをお願いします。

 

今日僕が話したことは全て忘れてもらって良いと思っています。WITHコロナ時代の社会はそのような社会だと思っています。正解なんか1つもなく、ただ1つの選択肢があるというだけ。
考え方ってすごく大事だと思う。今自分が悩んでることについて、問いの設定が間違っていないかを見直し、この問題について考えることは効果があるのか、ズレてないかを分析することが大事です。
介護って正解がないし、答えがないから難しいんじゃないでしょうか。だからこそ、常に悩み続けることが求められます
そして、「今、この瞬間を大切にする」というところから始めてもらえばいいと思います。

 

自分の居場所が合っているのかを考えてほしいです。「その現場で何をするか?」「何ができるのか?」「そもそも現場のチョイスが良かったのか?」自分の可能性を潰さないで欲しいなと思います。そして、介護業界以外の違う価値観に触れる機会も大切だと思います。違う業界から見た違和感に目を向けてほしいです。

 

新型コロナウイルス感染症の感染拡大という、非常事態下においても、「あおいけあ」らしさ、「はっぴーの家ろっけん」らしさが守られていて、その対応の仕方にもそれぞれが大切にしている価値観が滲み出ていました。

私たちが、あおいけあやはっぴーの家ろっけんの対応をただそのまま真似をすれば良いのかというと、決してそうでは無いと思います。
「多くの施設がこの対応だから、うちの施設もそれに合わせる」のではなく、それぞれの事業所ごとに話し合い、改めてゼロから考えていき、それぞれの事業所ごとの正解を見つけていく必要があるのではないでしょうか。

ゲストプロフィール


加藤忠相 株式会社あおいけあ 代表取締役 
1974年生まれ。東北福祉大学社会福祉学部社会教育学科卒業。 大学卒業後に横浜の特別養護老人ホームに就職。3年後退職し平成13年に株式会社あおいけあを設立。「グループホーム結」「デイサービスいどばた」の営業をはじめる。平成19年より小規模多機能型居宅介護「おたがいさん」を開始。平成24年11月に「かながわ福祉サービス大賞~福祉の未来を拓く先進事例発表会~」において大賞を受賞。平成29年4月「おとなりさん」開所。

【主な活動】 NHK「おはよう日本」「あさイチ」「時論公論」、NHKEテレ「ハートネットTV」、フジテレビ「特ダネ!」などで取り組みを紹介されるほか、朝日、神奈川、読売、産経新聞等のメディアや多くの雑誌での特集されている。漫画『ほっと介護日誌』で「奇跡の結婚式」が漫画化。2017年公開映画『ケアニン~あなたでよかった』のモデル事業所。著作『あおいけあ流介護の世界』出版。NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~ “あなたらしさ”は、ここにある 介護施設経営者・加藤忠相」H28.10.3放送。日経ビジネス「次代を創る100人」に選出。日本テレビ「ニュース深層~幸せな介護~」生出演H29.6.28 朝日新聞フロントランナーに掲載H30.1.20  漫画『あおいけあ物語』連載開始H30.6.1『葵照護』(台湾版あおいけあ流介護の世界)出版H30.6.1 ドキュメンタリー映画『僕とケアニンとおばあちゃんたちと。』H31.3月公開予定  Ageing Asia Global Ageing Influencer 2019(アジア太平洋地域の高齢化に影響を与えている最も影響力のある指導者)に選ばれる。


首藤義敬 株式会社Happy 代表取締役
23歳の時に、遊休不動産の活用事業や地元である神戸市長田区を中心とした空き家再生事業を開始、27歳で法人化。
自身の育児の課題解決も兼ねて、自らの生い立ちから多世代でシェアで暮らす昔の長屋のようなライフスタイルを提案。
企画段階から保育園児・学生・主婦・クリエイター・外国人等、多様なバックグラウンドをもつ地域住民で事業計画とコンセプト策定を行いスタートした多世代型介護付きシェアハウス「はっぴーの家ろっけん」は、現在、NHKをはじめとする各種メディアの取材が相次ぎ、看板も広告もしないのに全国から視察が絶えない話題のスポットになっている。

開催概要

日時:2020年7月4日(土) 19:00~21:00
場所:オンライン(Zoom配信)

この記事を書いた人

森近 恵梨子 Eriko Morichika
twitter/note

株式会社Blanketライター/プロジェクトマネージャー
社会福祉士/介護福祉士/介護支援専門員

介護深堀り工事現場監督(自称)。正真正銘の介護オタク。温泉が湧き出るまで、介護を深く掘り続けます。
フリーランス 介護職員&ライター&講師。


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