「最期まで自宅で過ごしたい人の選択肢になりたい」 原点回帰した介護職の新たなの挑戦


fullsizeoutput_113大学を中退してまでテニスコーチになりたいという思いを、「好きなことをしなさい」と唯一応援してくれた祖父。だんだんと老いる祖父を最期まで懸命に支えてくれたヘルパーさんの姿を見て感銘を受けた田中さんは、祖父の死をきっかけに介護の世界に入ります。「自宅で過ごしたい人の選択肢になりたい」、有料老人ホームから在宅介護の世界に飛び込んだ田中さんのストーリーをご紹介します。

語り手:田中健太(た) 定期巡回/随時対応型訪問介護看護の計画作成責任者
聞き手:清水達人(し) 有料老人ホーム 介護予防運動指導員

 

世の中の高齢者のほとんどは、在宅生活を望んでいる。

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田中さんが
幼少期に大好きなおじいちゃんと撮った写真

た:高校からテニスを始め、そこからテニスに夢中になっていました。大学からはアルバイトで始めたテニスコーチの仕事がとにかく楽しく、授業にも行かず、練習や試合に明け暮れる日々を過ごしていたんです。テニスコーチになりたいと、大学中退を考えたとき、親からは猛反対されました。そのとき唯一応援してくれたのが、祖父だったんですね。「好きなことをしなさい」、そういって僕の背中を押してくれ、大学を中退してテニスを学べる専門学校に進学しました。

晴れてテニスコーチになり、定年までテニスコーチを続けたいと思っているほど自分にとって天職だったのですが、大好きな祖父の死をきっかけに介護の世界に転身しました。

し:田中さんにとっておじいちゃんの存在はかけがえのないものだったんですね。でもなぜ介護に振り切ったのでしょうか。

た:祖父の介護が必要になってから亡くなるまあで、ヘルパーさんが懸命に支えてくださって、その仕事っぷりに感銘を受けたんですね。祖父が最期まで自分の家で暮らすことができるお手伝いをしてもらったので、自分自身もそのお手伝いがしたいと介護の世界に転身しました。

有料老人ホームで働いていて、世の中の高齢者のほとんどが実は在宅生活を望んでいるということを知り、在宅生活を支える仕事がしたいと思いましたそこから転職を考えていて介護に係わる人の話を聞きたいと思って、KAIGO MY PROJECT(以下、KMP)に参加しました。

ただの友達作りとかではなく、介護に対する想い・感性など表面的なもので終わるものは嫌だったので、深く関わりを持てる場所を求めていたんです。

 

「被介護者」から「地域貢献する社会資源」になる
高齢者から見えた介護の専門性

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田中さんが見学に行った「あおいけあ」の日常。PRESENT _04より。

し:田中さんのマイプロについて教えてください。

た:「介護職の専門性を考える」この2つをマイプロとして掲げていましたが、結果から言うと、今は参加当初とはマイプロの形は変わってきました。

介護職として働き、たくさんの高齢者やスタッフと関わりを持つ中で、多様な価値観に触れることができました。その反面、多様な価値観を理解しようとする余り、KMP参加当時は介護職としてのあり方が分からなくなってしまった時期でもありました。そんな中KMP参加中に、OBのメンバーにお誘い頂いてあおいけあに見学へ行きました。そこで代表の加藤さんとお話させて頂き、実際に「被介護者」から「地域貢献する社会資源」になる高齢者を見て、介護の仕事の本質を考えさせられるきっかけとなりました

し:なるほど。「介護職の専門性」が見えてきたわけですね。
た:介護の仕事は、「自立を支援すること」。これは介護福祉士やケアマネジャーの教科書で散々習ってきましたが、あおいけあにいるイキイキとした高齢者の姿を見て、やっと胸にストンと落ちた感覚になりました。

1つの動作が自立に近づくことで、その方の生活の質がどれだけ向上するか、本人の気持ちになってみれば簡単に分かることですよね。しかし、施設でリーダーをしていたときは「事故を起こさないこと」が第一になっていて、誰のための「安全」で、当の本人は本当に「安全」を望んでいたのだろうか?と、今では思います。その方の望む生活を叶えるためにどんな自立支援が出来るかを考えるのが、介護職が専門職としてのあるべき姿なのではないかと思います。

 

最期まで自宅で過ごしたい方の,選択肢になりたい。

fullsizeoutput_128田中さんインタビュアーの清水が参加したKAIGO  MY  PROJECT6期メンバーの集合写真

し:もともと介護を目指したきっかけは祖父の在宅介護ですもんね。たなけんさんの根っこ部分はやっぱり、自宅で最期まで暮らせる自立支援があるのですか?

た:今の仕事がまさにそうで、安易な施設入居はせずにできるだけ在宅生活を支援したいと思っています。現在の介護保険の制度上、在宅介護は、ある程度家族の介護力がある前提なので、家族の介護力がない場合は、施設に入ることが多いと思います。今、僕が務めている「定期巡回/随時対応型訪問介護看護」というサービスは介護が必要になっても、住み慣れた家庭でできる限り生活ができるよう平成24年度に創設された24時間対応の介護保険サービスです。最期まで自宅で過ごしたい方の選択肢になれるように、まずは自分が勤めている場所か始めて見ます。それが、僕の今のマイプロになっています。

し:内容の変化ということはあってもでも、根本的な部分は変わりませんね。

た:そうですね。プロジェクト自体は何かこれをしたということよりも、プログラムを通じて自分自身を見直して、原点回帰できたことが大きく、自分の次の道を切り開くことができました。その過程で必要なスキルを学べたのがマイプロのプログラムだったのかなと思います。

し:この経験を生かしてなにをするか、プロジェクトの本番はこれからですね!ありがとうございました。

 

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