理想の社会づくりのために、誰でもできる地域連携に向けた一歩とは?

前編「高齢者のお世話は介護じゃない。誤解だらけの「介護職」の本当の役割とは?」では、地域の人が集うあおいけあのできるまでのヒストリー、その中で介護職の真の役割とそれを実行する上で欠かせない考え方を学んできました。

後編は、そもそもなぜ地域を巻き込む必要があるのかを社会的背景から紐解き、今求められている在宅介護サービスのカタチと理想の社会づくりに向けた誰でもできる多職種連携に向けた一歩をお教え頂きます。

地域を巻き込むのは、高齢者のためだけじゃない。スクリーンショット 2016-02-18 15.10.29

これは国土交通省が出している資料で、日本の人口統計が書いてあります。明治維新から100年で伸びた人口がこれから100年で減っていきます。今日本の1番の問題は、1億2600万人分のインフラを整備してきたのにも関わらず、100年後には4000万人分しかいらなくなるんです。自治体も523もの自治体が消滅すると言われています。東京も墨田区がなくなるとか、小田急線は狛江で止まるかもしれないと言われています。僕たちはそういう社会を生きているんです。

皆さんの中に、その意識はありますか。当然、今やっている仕事が明日も明後日も続くなんてことはありえませんし、特に自治体の職員の頭が切り替わらないことにはどうにもなりません。介護職員も同じですよね。

今が、税収がピークですよ。税収がピークなのに借金はどのくらいありますか?日本で子供が生まれた瞬間に一人当たり8300万円の借金を背負って生まれているんです。しかもまだまだ増え続けます。ここに生きている大人たちが、「必要なんだよ、医療が」「必要なんだよ、介護が」って言って、50万床もの特養増やして、その借金誰が払うのか。本人たちではなく、人口が4分の1になる世代に借金を丸投げにしているんです。

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これは高齢者の推移です。高齢者が増えるわけではなく、少子化によって高齢化率あがります。逆を言えば、他の産業は空洞化するんですよ。「車が欲しい。」「家が欲しい。」そういう人たちはどんどん減りますね。そんな中、医療介護がこの先のリーダーというのは正しいと思います。ただ、これからどこに向かうのかがとても重要です。

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例えば、僕たちの事業所のある神奈川県は、人口10万人あたりのベッド数は、全国で1番少ないんですね。神奈川県民1人当たりの医療費は年間8万円くらいです。一番多いのは高知県で年間1人当たり19万円もかかっています。高知県民は神奈川県民の何倍も医者にかかりやすいという話ではなく、ベッドがあるから使っているんです。実際に神奈川県よりもはるかにスウェーデン、デンマークやイギリスではベッド数は少ないんですね。神奈川県にベッドがないことを嘆くのか、それともそうではなく、ベッドを使わなくて済む方法を考えるのかという話です。

特養も同じです。藤沢市の県議会議員に尋ねたところ、特養をつくるのに税金だけで33億円がかかっていました。ということは、ベッド1個当たり3,300万円もするんですね。家が建つでしょ。しかもこれは社会福祉法人が運営するので、自治体には1円も税収が返ってこないんですね。

藤沢市民のうち待機者が1,400人いるからと2012年に新規特養を開設したんですね。33億円もかけて特養をつくったら、待機者が1,600人増えたんです。本当は1,300人減らなきゃいけないのに。ニーズっておかしいでしょって話ですよ。「足りない。必要だ。」と言っていますが、特養に住みたいって言うばあちゃん見た事ありますか?そんな当事者いないんですよ。造る側は自分のことだとは思っていないんですよ。あと5年、10年したら特養は全部ビニールハウスでいい。

会場:(笑)

30年、40年経って、それを壊すのも税金でしょ。ちゃんと知恵を使って考えていくということを皆でしなきゃいけない時代です。

地域に足りないのはサービス資源ではなく、
マネジメント機能

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今までの在宅介護サービスは、ほとんどワンアイテムショップなんですよ。ショッピングモールにいくと、靴下屋さんとかワイシャツ屋さんとかありますよね。でもあれが街の中にバラバラにあって、レジが違うところにあったら皆さん買い物行きますか?とても不便ですよね。

でも今の在宅介護はそうなっているんですね。帽子屋さんがデイサービス、ショートステイが靴下屋さん、ヘルパーさんがワイシャツ屋さんだとすると、レジがケアマネさんですね。全部バラバラなんです。

これをまとめたのが、小規模多機能の考え方です。デイサービスも、ショートも、ヘルパーもいれて、ケアマネジャーをちゃんと伴奏型にしましょうという考え方です。さらに今は看護や、藤沢ではリハビリ職も入ってきます。この先おそらく地域の居場所事業なんかも入ってくるので、ワンアイテムショップでなく、ワンストップサービスが徐々に増えてきます。

今まで例えば1万6千単位を持っているじいちゃんがいたら、1万6千単位ぎりぎりのケアプランをケアマネさんが作るんですよ。じいちゃんのニーズではなく、持っているから作っている現状があります。それではだめですよね。小規模多機能は包括報酬で1ヶ月当たりの報酬が決まっているので、1万6千単位持っていたとしても1万2千単位で1ヶ月みれることになります。この先、包括報酬にどんどん切り替わっていきますよ。その時の準備を介護職はしていかないといけないですね。

スクリーンショット 2016-02-18 16.01.41例えば、うちの事業所は今事業所を新設しようとしています。左の図ピンクの所に、小規模のサテライトをつくり、その横にコミュニティレストランや2階にペアレンティングホームと言う、シングルマザーに特化したシェアハウスをつくろうと思っています。

若いシングルマザーは夜の仕事をするために、高いお金がかかってでも子供を保育所に預けて、ワーキングプアみたいな状況になっていますが、例えば、小規模多機能は地域に根ざされ24時間365日誰かがいるので、いつでも逃げ込める場所になります。そこにコミュニティレストランを併設すると、世代間交流が当たり前にできますよね。

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労働人口がどんどん減っていく社会の中、女性が社会参加しやすい環境をつくっていかなければなりません。ここで働いてもらえれば人材不足の解消にもなるし、上に子供がいれば夜勤だってできるじゃないですか。それに学童や保育所がいらなくなりますよね。子供たちはじいちゃんばあちゃんがを見てくれます。「マイノリティ」みたいなものが今問題にされていますが、実は一緒に組み合わせてしまうとお互いが支えられるよってことが結構あるんです。それを僕はやっていきたいんです。

 

誰でもできる地域連携に向けた一歩とは?

医療や介護のアウトプットって何でしょうか。「医療 = 健康になること」とか、「介護 = 転ばない・風邪引かない」と勘違いされることが多いですが、病院や施設はあくまで道具ですよね。この道具を使って、「QOL=生活の質」をあげることや 「QOD=幸せな死に方をすること」が医療や介護の目指すところですよね。

それを行うために僕が大切だと思っているのは、以下の3つです。

  1. 意識の高い専門性を使える人が増える
    QOLやQODを高めることであるにも関わらず、退院は困るとか、転んじゃ困るとか、薬を飲ませて寝かせておこうとか、今の医療や介護はおかしいところがたくさんあります。そうではなく、専門性が使える人が欲しいんです。専門職が欲しいのではなく、人として専門性が使える人が欲しいんです。私は医者だから、私は介護士だから、「あなたをみてあげられる人です」というような専門職は地域に必要ありません。
  2. 学べる地域づくり
    例えば、救急車1回呼んだら15万円掛かります。そのことを知っている人ってどのくらいいるでしょうか。意外とそういうことを知らないんですよね。何も知らずに呼んでしまって税金を使ってしまうのですが、その事実を知り、そうではない方法を知っていたら行動も変わると思うんです。そういうことを地域で学べるところをつくりたいと思っています。
  3. 住民意識を向上し、子供たちに借金を残さない
    学べる環境づくりも踏まえ、子供たちに借金残さないようにと考えた時、地域住民1人ひとりの意識の向上が重要になります。だから団塊の世代の人たちは、ピンピンコロリしてくれないと困るのです。好き勝手な生活して医者にかかればいいというのではない社会にしていきたいですね。

そのことを地域の仲間の協力を得ながら様々な勉強の場を開いています。

例えば、うちの勉強会は、各事業所の職員が15分ずつ事例発表をします。年に4回ゲストを呼んでやっています。それを全員の職員や、地域の仲間の事業所は全部声を掛けます。自治体の職員も参加しています。うちの勉強会ですが、自分たちだけのためではなく、地域全体のボーダーラインをあげることを意識しながらやっています。

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また、地域マネジメントとして「絆の会」という飲み会を毎月やっています。20代から40代の若手の仲間たちが中心で、毎月飲み会をしています。これは、どの地域でもできますよね。どんなに偉い人が来ても、鎌倉市の松尾市長が来ても、「おー、松尾ちゃん」って感じです。これだから多職種連携です。いつも地域の仲間たちが顔の見える関係で繋がっています。

あおいけあの代表取締役と病院の院長が繋がっていても医療介護連携ではなく、そこで働いている職員たちの顔が繋がっているのが、本当の医療介護連携だと思っています。

最近は、飲み会から派生して、どんな人でも集える場所つくりを軸に地域で人を育てるNPO法人ココロまちが誕生しました。パン屋でバンドボーカルがいたりだとか、伊藤忠で働いているデザイナーがいたりだとか、医者がいたりだとか、看護師がいたり、介護職教員がいたり、ケアマネがいたり、いろんな仲間たちと一緒に今活動しています。

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このあと後半のワークでは、加藤さんから「あなたの明日からの一歩は何ですか?」と問いかけがありました。前半に掲げたトップゴールに向けた一歩を参加者同士でシェアし合い、会場は熱気につつまれました。

お食事は「全員参加型」にちなんで、参加者と一緒につくって食べるトルティーヤをご用意しました。今回も八百屋集団「sunshine grown」さんにご提供頂きました。

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イベントラストは、加藤さんとのQ&Aへ。秋本がコーディネーターを務め、事前に参加者から寄せられた質問にお答え頂きました。

秋本:それではこれから、皆さんお待ちかねのQ&Aに入っていきます。よろしくお願いします。

数多くある質問の中で、加藤さん自身に対する質問を多く頂いております。現場経験を積んで出てきた問題意識から、自分のやりたい介護をしたいという想いで独立をされたということですが、 25歳という若さで1億円の融資を受け、起業するのはとても勇気がいることだと思います。一体、何が加藤さんを突き動かす原動力となったのでしょうか?

加藤:よく言われるんですけど、ただの無鉄砲です。若気の至りというやつです。それがたまたま成功したというだけです。銀行から1億の融資を受けることはさほど怖くはなかった様な気がしています。むしろ怖かったのは、僕が先に離職しているので、それを追って僕の元職場(特養)の仲間たちから「いつ辞表を出して、お前の所に行けばいい?」と言われることの方が、彼らの人生を背負い、雇用するという意味で怖かったです。

始めたのは、山井さんの「グループホーム基礎知識」という本を本屋で立ち読みした時に「俺にもできるんじゃないか?」と思ったのがきっかけの1つです。

若いうちにやる方が成功して、経済的に豊かになった40~50歳になって挑戦する方が失敗しやすいというデータも出ています。安定の中で自分の目標を実現するより、リスクを抱えながら「あ~どうしよう!!」という状態の中で挑戦する方が自己実現は可能だと思います。なので、やるなら早いうちにやってしまう方がいいのではないかと思います。早いうちの失敗は、早いうちにカバーできます。

例えば、僕なら25歳で事業を起こして、その10年後の35歳では、ある程度今のあおいケアのスタイルが出来上がっていて、この5年間で多くの仲間が出来て、あちこちで仲間がもがいてくれたんですよ。

僕は今、41歳ですが、あと10年は自分のやりたいことをやれるんですね。ただ、これが50歳で始めて、60歳で結果を出すとなると、遅いんです。それならもっと早く始めた方が社会的な損失は少なくて済むと思っています。

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秋本:ありがとうございます。何も持っていなかった所から始められて、そこから色々な仲間が出来て、今となっては藤沢以外のエリアからも勉強会に参加される人が数多くいますが、独立から今に至るまでの仲間が出来ていくストーリーをお聞かせ頂けますか?

加藤:僕は独立後、藤沢市の介護事業所が集まる連絡所的な所に行きたくなかったんですね。何か違うというか、そこに行ったら言いたいことも言えないので、あまり外と交流を持たなかったんですね。

ただ、東日本大震災が起爆剤になりました。同じ藤沢でぐるんとびーという会社をやっている菅原健介が被災地支援をやっていて、僕はドライバーを頼まれて一緒に行ったんですよ。震災1か月後ということもあり、お互いが極限状態で泊まり込みで支援をしていました。帰ってきて半年経過した時、石巻市の希望の鐘商店街の仲間で1億円を寄付した面白い人がいるから一緒に話そう!という飲み会があって、“自分の知っている面白い奴を連れて来よう!”と始まったのが、「絆の会」です。

医療・介護だけではなく、異業種もたくさん来ています。絆の会では毎回1人が20分必ずプレゼンします。その時に頑張っている人や、やりたいことのある人が話す。その中で産業廃棄物の処理事業の社長をしている仲間がいて、彼のプレゼンを通じて、仲間内で「ゴミをどうやって減らせるか」などと勉強する訳です。それで、たまたま僕が発表した時に彼らが僕のプレゼンを「すげー!!」と賛同してくれたんです。

自分がやっていることが周りに理解されていないと思うことは、よくあると思うんです。僕も小規模多機能をやっていて、周りに「小規模多機能」を知っている人が全然いなかったので、初めは全然お客さんが来ないので、首吊ろうかなと思ったくらいでした。今は仲間と一緒に色んな所へ行って講演を自主的に100回以上しているんです。結果、今はお客さん来るようになっています。やっぱり動かなきゃだめです。動くから学びが得られるんです。

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秋本:ありがとうございます。今、外部の人を巻き込むまでのお話を頂きましたが、もう少し小さい単位で人を巻き込むことについて伺えたらと思います。加藤さんの事業所では、仲間の意識づけはどうされているのでしょうか。また介護の自立支援は職員だけでなく、本人であるご利用者の意識も同様に重要だと思うのですが、ご本人への意識付けはどのようにされているのでしょうか?

加藤:よく「スタッフさんの配置人数が多く、とても意識の高いスタッフが多いのではないですか?」と聞かれますが、うちは新聞広告の求人を見て応募してきてくれた無資格・未経験のおばちゃん達が多いんです。今、3事業所の管理職はパートで採用した40歳くらいのおばちゃん達なんです。専門職で「介護ってこんなもんでしょ」という凝り固まった考えを持っている人よりも、ここに一緒に座らせてもらっていいですか?という様に普通のことがすんなりできる人でないと、うちのケアは向かないと思っています。

面接する時も、いくつか質問するんですが、そのうちの1つしか重要な質問はなく、あとは全部ダミーでやっています。(笑)大切なのは本人がじいちゃん、ばあちゃんが当事者であることを理解していることです。

最近、静岡大学の情報学部の研究を行っていて、どうやって声掛けをしているのかなど、時には職員がカメラをつけて事業所の情報をずっと記録しているんですね。それを今、ユマニチュードと比較しているんです。最近の研究発表によると、直接的な声掛けには特徴があることがわかってきました。

「椅子に座って下さい」って「have a seat」と言いますが、例えばご飯を作る時に、職員が「今日は鍋を作ります」なんて言ったら、これはやらせる側とやる側になってしまいます。

「why did not have a seat ?」なんで椅子に座らないの?という声掛けの仕方。「なぜこのこんにゃく切ってくれないの?」という質問の仕方から「こんにゃくは手でちぎった方がいいのかな?もしくは切った方がいいのかな?」という感じではじめてみる。

「今から、よもぎを仕分けるんだけど、これであっているかな?」という様な声掛けを行うと、ばあちゃんたちが「どれ、どれ?」と主体に入ってきてくれる。そういう環境をスタッフさんたちは作り出すのが上手いんです。

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秋本:ありがとうございます。静岡大学の研究等される中で、今後あおいけあの実践方法が広がっていったら良いなと思うのですが、藤沢以外に広めていくためには何が大切だと思われますか。

加藤:まず、ここにいる1人ひとりが特別視を捨てることです。「あれは藤沢だからできるんだ」「加藤だからできるんだよね」という様な意見では、すでにやらない理由を探しているので、そのような人達には何も変えられないと思っています。東京だろうが、どこだろうが、そのエリアに生きる人が考えるのが一番良くて、「田舎だから…」「人口が少ないから」というような話ではないという事です。

その中で必要な事を誰がやっていくのか?どれだけ本人が1人称で語れるか、3人称じゃなく1人称で「自分がこういう生活がしたいから」「自分の親をこういう風に見たいから」という事を具体的に行動できることから誠実にやっていくことだと思います。

藤沢からの広め方という所ですが、まずは藤沢を面にしたいと思っています。僕だけではなく、仲間達が始めた事業所があるので、その人たちとやっていけば、藤沢では「お宅まだそんなケアしているんですか?」って堂々と言えるようになるじゃないですか。そうした時に「藤沢型」というスタイルで横スライドできるのかなと思っています。今のところは広くバンバンやっていくより、地域内で実現できる人や若い子たちと一緒にやっていきたいと思っています。フランチャイズではないけれど、やっている所をどれだけ支援できるかが勝負だなと思っています。

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秋本:まずは藤沢で広めるということですが、加藤さんの2025年の目標をお聞かせ頂けますか。

加藤:実は僕は30代前半から40歳になったら、引退して農業やりたいって言っているんです。今、それを仲間に言うと烈火の如く怒られちゃうので言わないようにしています。(笑)

内閣官房の国民会議に出ようが、僕はただの介護屋ですし、皆さんと変わらないただの人間です。とにかく、僕は偉くなりたくない。基本的には偉くていいことがあるのか?と考えています。

この先、すごくなろうとは思っていないけど、介護の文化を変えたいと思っています。40年前の療養上のお世話をして頑張っている的な古臭いカタチは頭を切り替えて欲しいんです。そんな中で若い人には、取って代わってイメージの転換を図って欲しいと考えています。ここにいる人たちは最前線ですよ。

日本は世界で一番早く超高齢化社会へ突入したわけです。世界の人たちは日本人が何をするか見ています。日本人はここまでかと思われるか、日本人はすごいねと思われるかは、上の世代の人ではなくて、ここにいる人たちが何ができるかだと思っています。人前に出てきて話す必要があると思っているのは、皆さんのような若い世代に伝える必要があるからです。もういい加減に考え方を変える時に来ています。

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秋本:最後に、私たち若手に向けたメッセージをお願いします。

加藤:僕より上の世代で頑張っている先駆者は、他のコミュニティーとは交わらず、孤立している人が多いですよね。一致団結してやるというより、私たちのやっていることはすごいんだという人が多いです。

しかし、僕等より下の世代は、物欲の無い世代なので、仲間に認めてほしいという所が多いでしょう。僕もそうですし。でっかい会社に集まってお金儲けをするというよりは、地域内でバラバラに自分のやりたいことをやっているけど、何かあった時は一致団結して協力し合うことが、これからの社会ではものすごく大切になってくると思います。

若い人たちには今ある社会というものを疑える人になってほしい。むしろ、自分たちの方がど真ん中だということを感じてほしい。外れたことやっているなーと思わずに、堂々と「おかしいのは社会だ」と、はっきり言って欲しい。自分たちのおかしいと思う感覚を大切にして、何か動いて、色々な事を学んでいって欲しいですね。

加藤さんの熱いメッセージに、会場は熱気で包まれました。イベント最後は参加者同士で学びをシェアし、この日の学びの場を築いた全ての人に拍手を送って、締めくくられました。

 

2本に渡り最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
次回のイベントや、これまでのイベントのレポートはこちらからご覧下さい。
また皆さんと学びの場をともにつくれることを、楽しみにしております。

次回は排泄ケアの常識を覆す、排泄のタイミングが分かる排泄予知でバイス「DFree」を開発するトリプルダビュリュージャパンの中西敦士氏をお迎えします!詳細はこちら

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(文:秋本可愛 イベント当日写真:古川佳裕 その他写真提供:株式会社あおいけあ)

高齢者のお世話は介護じゃない。誤解だらけの「介護職」の本当の役割とは?

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12月6日、第4回目を迎える「PRESENT」は、「全員参加型の地域づくりって、どうやるの?」をテーマに株式会社あおいけあの加藤忠相氏をお迎えして開催致しました。

「PRESENT」は、「live in the present(今を生きる)」という私たちの意志のもと、私たちが私たちなりに日本の未来を考え、学びたいテーマをもとに素敵な講師をお招きし、一緒に考え対話し繋がるご褒美(プレゼント)のような学びの場です。4回目も有り難くも80名満席での開催となりました。

定員となりご参加頂けなかった皆さまには、この場を借りてお詫び申し上げます。PRESENTでは、毎回(全力で)レポートを書いておりますので、宜しければ最後までお付き合い頂けますと幸いです。多くの介護に志ある人へ、学びを共有できますように。

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今回は、昨年10月に地域ケア情報の総合検索サービス「たすケア」をリリースされた、カカクコムさんに会場協賛頂き、開催致しました。

メインコーディネーターは代表の秋本可愛、ファシリテーターはPRESENT運営チームメンバー医師の田中公孝が務めました。

前回は、今国が掲げている「地域包括ケアシステムって結局、何?」というテーマで、堀田聰子さんにお越し頂きました。堀田さんは、「結局、答えはない。一人一人が自分にとっての幸せとは何か?を、問い続けるしかない」と仰られていました。

問い続ける中で、今回は1つの答えとして、実際に地域包括ケアシステムを実際につくっている実践者にお越し頂きたいと思い、あおいけあの加藤さんにお越し頂きました。

“地域に開く”あおいけあが、できるまで

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加藤:皆さんこんばんは。若い人が多くてすごく緊張していますが、これまでの先生方と違ってただの介護屋ですので、先生とかは絶対やめて、普通に仲間として付き合ってもらえたらなと思います。

私は仙台にある東北福祉大学、出身です。あんまり偏差値は高くありません。うちが保育園を経営していて、そこを継ぐ為に福祉大に行きました。本当は教員過程にいたんですね。

卒業する前にうちの祖父が他界しまして、帰ったら親父に仕事がないと言われたんです。保育園は叔父に乗っ取られていまして、帰った途端にニートです。

半年間何をしているかわからなくて、花屋さんのバイトをしていました。その後に、特養で働くことになりました。その現場が非常に良くないところで、2〜3年弱そこで働いたのですが、これはもう我慢できないと思い、介護職として僕がちゃんと働ける場所をつくりたくて、しょうがなく会社を始めました。別に経営者になりたいわけでもありませんでした。

 

「なぜあおいケアには人が集まるのか?」と言われましたが、逆説的に考えたらなぜ人を集める必要があるのか?何のために集めるのか?についてお話したいと思います。

これは、10年前に僕が作ったスライドです。

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僕は人の話を聞いている時に、忘れないようにその場ですぐに図を書いてパワポを作るのですが、これは10年前に九州の川原さんという介護士が、10年後の2015年の話を聞かせてくれたときに作ったものです。

介護の担い手は、家族、地域、施設の3つ。この先おそらく「家族」は、とくに団塊の世代の方は、結婚してなかったり、離婚していたり、子供がいてもせいぜい1〜2人。みてくれる家族がいない人がすごく多くなります。「地域」は、おそらく都市部は崩壊していくだろうと言われていました。「施設」は限りある財源の中で、この先伸びていくことはないでしょうと言われていました。

この3つしかない中で、何とかできるかもしれないのが「地域」でした。先輩方から、「これからは地域だ。地域だ。」って言われ、私自身も結構アホなんで、先輩の言葉をそのまま鵜呑みにして、とにかく地域に開こうと思いました。25歳で会社を作って始めたのがグループホームとデイサービスです。平成19年から「おたがいさん」という小規模多機能を始める時には、とにかく地域に開くためにはどうしたら良いのか?と考え、とりあえず壁を壊そうと思ったんですね。

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本当に壁(左のオレンジの太線)を壊したんです。お隣さんの壁は壊せないですけど、うちにある壁は全て壊しました。

スクリーンショット 2016-02-04 15.47.43その結果、子供たちが敷地の中(上図緑の矢印)を通って学校に行くようになり、地域のサラリーマンはこれまで迂回して駅に行っていたのをこの中を通ることで早く駅に着けるようになったみたいです。夕方には、高校生のカップルが手をつないで歩いて、ばあちゃんたちが「足長いわね。足長いわね。」って眺めながら話しているような、くだらないけどどこにでもある日常が見られる場所になりました。

普通に私道なんですけど、地域の子供達が通り抜けていきます。

 

外にはトトロに出てくるような井戸があって子供達が水遊びをしたりとか、建物の外に階段がぐるっと回っていて、屋根に登ることもできます。登ると富士山とか大山が見えるんです。

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本当は屋根に穴をあけて1階までシューっと降りるのをつけたかったんですけど、予算がなっかったんです。設計士さんに何か諦めろって言われて、諦めたんです。(笑)

2階は小規模多機能としては一切使わず、研修室になっています。ここは習字教室として週に4日貸しているので、地域の子供やお母さんがたくさん訪れます。普段から地域の人たちが出入りしている場所になっています。

玄関脇に漫画を置いてみると、子供たちが朝ここで漫画読みながら友達が来るのを待って、揃ったらみんなで学校に行く場所になりました。子供たちだけでなく、お母さんたちが公民館でやっているようなサークル活動をフロアでやってもらっています。この場に慣れてきたらばあちゃんたちに子育て相談ができ、もっと慣れてきたら子供たちをみていてもらって買い物や美容室に行っています。

スクリーンショット 2016-02-04 16.13.40玄関で、駄菓子屋さんもやっています。東京で本当に駄菓子屋さんをやっていたばあちゃんがいて、「安い駄菓子じゃないと子供はかわないよ」「綿菓子は、かさばるから置いちゃいけないよ」とか、すごくうるさいんですね。(笑)

もちろん駄菓子屋さんを切り盛りするのは、ばあちゃんたちで、子供達が買いに来ています。子供は「麦茶下さい」って普通に中に入ってきたりもして、普段から出入りするのが当たり前の環境が施設でできているんです。

 

介護職の仕事は、地域をデザインすること

僕はたまたま2000年の介護保険制度がはじまった年に、自分で仕事を始めました。その前は措置でしたね。措置を知らない若い方もいるかもしれませんが、お国がみてくれていたわけです。2000年以降は介護保険制度で仕事を動かしています。

介護保険制度の中で、介護の仕事は何なのか?

(介護保険)第二条  第二項
前項の保険給付は、要介護状態等の( 軽減又は悪化の防止 )に資するよう行われるとともに、医療との連携に十分配慮して行われなければならない。

僕らの仕事というのは「軽減又は悪化の防止」です。回復を目指すもしくは、維持してもらうことですね。当然、高齢になってくると、必ずみんな死にますから、それが出来ないときは最期まで寄り添うのが僕らの仕事です。やってはいけないのは害を与えることですね。自分の事業所にお年寄りを閉じ込めてお世話をするのは、介護の仕事ではないので、本当は介護報酬もらえないんです。

何でこれがもらえてしまっているのか?というと、措置のことが頭に残っている事業所が鬼のようにあるからです。

1963年「老人福祉法」施行  「療養上のお世話

2000年「介護保険法」    「自立支援

2003年「高齢者介護研究会」 「尊厳を支える

2010年「地域包括ケア研究会」「地域包括ケア

老人福祉法は40年以上も前のことです。昔は介護の仕事は療養上のお世話でした。でも今は、お世話をしてはいけないんです。そんなことは、どこにも介護保険法に書かれていません。介護保険法に書いてあるのは、「自立支援」です。

さらに、2003年に高齢者福祉法で「尊厳を支える」、2010年に「地域包括ケア」という概念が出来ました。介護職の人たちは未だに療養上のお世話でばたばた振り回されている現状が多いから、介護職はいつまで経っても軽減出来ないという状況になっています。

措置時代は、スタッフがお茶をだし、高齢者は世話になる対象でした。2000年の介護保険制度ができてからは、介護職は高齢者と一緒に掃除をしたり、一緒にお茶を入れてもらって、初めて仕事になるんです。そのことで、高齢者も私は役に立つと感じながら生活を送ることができます。

さらに、今は地域包括ケアです。僕らの中での地域包括ケアは、この自立支援を地域に持っていって、公園や神社を掃いてくると、地域の方から「ご苦労様です」と言ってもらえるわけです。庭で花植えたらレクリエーションですけど、公園や市民病院で花を植えてきたらボランティアですよね。じいちゃんばあちゃんは社会資源になるんです。それをデザインする。

つまり介護職の仕事は、地域をデザインすることなんです。その人たちが療養上のお世話をしていてはいけないんです。

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このおばあちゃんはゴミ屋敷に住んでいたおばあちゃんなんですけど、見えないですよね。1年ぶりにお風呂に入ってとてもお元気です。僕が、夜勤の中で皿を洗おうものなら、ここは男が立つもんじゃねから、どけっと言われて。(笑)台所はお年寄りが普通に立っていますよ。

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このタイヤ交換をしている人も利用者です。タイヤ交換をさせている事業所はなかなかないと思いますが、このおとっちゃんはもともと車の関係の仕事をしていたんですね。

みなさん、アセスメントとりますよね。何の職歴なのか?とか見ますよね?なので、こんな判断もできるんですよね。で、実際に、出来ました。

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このおとっちゃんもとても元気そうに見えますけど、うちに来る前は家のあちこちでオシッコをして、家族も困っていました。今は鉈(なた)をもって庭の手入れをしてくれているのですが、このおとっちゃんは元植木職人なんですね。

介護職で勉強していない人は、「鉈持たせると危ない」と言いますが、危ないわけないんです。僕らが鉈持つ方がよっぽど危ないですよ。だって、認知症が進行しても手続き記憶は消えませんよね。女性に包丁持たせても危ないわけがないんですよ。ここにいる若い女性に渡す方がよっぽど危ないですよ。

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「お年寄りに散歩にいきましょう」と言うと、「寒いから嫌だよ」と言われるんですね。だけど、「地域の清掃活動に行くんですけど、一緒に行って頂いてよろしいですか?」と言うと、みんな「しょうがねえな」と言ってくれます。

だから、散歩じゃダメなんです。地域にどんどん出て行かないといけないんです。お年寄りを要介護者にするのではなく、我々の仕事は社会資源にすることなんです。介護職員は、地域包括ケアをしていくために、どんどん地域に出て行く必要があるんです。

外に出た時に地域の人が、「あら、認知症のお年寄りが歩いているわ」みたいな環境になってしまってはダメなんですよね。外に出てじいちゃん、ばあちゃんたちが公園で掃除をしていたりとか、子供の通学路の見守りしていたりするから、お年寄りが地域の中で温かく受け入れてもらえるんですよね。お年寄りが何かをしてもらう対象になるのではなく、お年寄りの力を使って地域で何をするのか、それをつくっていくのが僕らの仕事なんです。

神奈川県はデイサービスでは庭にも出たらいけないという決まりがあるので、デイサービスは2年前にやめました。実際に、2年前にやめて、サポートしていく中で介護度も、激変しています。17人の利用者のうち、1年間で要介護度が改善した人は5人。最も改善されたケースでは、90代の方が4から1になるなど、3段階も要介護度が下がっています。他の12名も要介護度が上がった人はいません。

要介護度が下がるということは、介護保険料も減るので、だいたい1事業所で1千万円は改善していることになるんですね。藤沢市16カ所ありますが、全部の事業所だったら1億6千万の改善になるわけです。そうしたら、改善できた実績として請求したらいいと思うんですよ。要介護5になったからラッキーなんて、絶対やりたくないでしょ。

※現在の介護保険の仕組みでは、サービスが同じでも要介護度が上がる(状態の悪化)と、利用料が上がります。

ケアする人に欠かせないスタートとトップゴール

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様々な取り組みを実施する中で大切なのが、スタートとトップゴールの設定です。スタートとは、自分の中で譲れないこと。価値基準。トップゴールとは、それによって実現したいこと。

僕にとってのスタートは、1つは「介護とは何をする仕事か?」ということです。介護は自立支援です。例えば職員が、車から降りてきた時に荷物を運んだり動かしたりすることは自立支援ではなくお世話ですね。うちはばあちゃんが自分の荷物は自分で運んでいます。

もう1つは、「人にされたら嫌なことを人にしない」。これは親やじいちゃんばあちゃんから人として大切だとずっと言われてきました。例えば、鍵閉めて閉じ込めるのは絶対に嫌ですよね。車に「◯◯園」とか、「◯◯財団」とか書いてあったらみなさん乗りたくなりますか?僕は嫌ですね。なぜ福祉や介護のフィルターを通すとそういうのがOKになってしまうのか分かりません。

そしてトップゴールは、人間関係の構築です。幸せの尺度だと思っています。今の僕らよりも下の世代はバブルで儲かったことがないので、お金儲けをしたい人ってあんまりいないんですよ。豊かさと幸せって違いますよね。昔の尺度って豊かさだったんですけど、今は幸せ。僕の中で何が幸せかなって考えたとき、人との関係性が保たれていることなのではないかなと思っています。

これを事業として、じいちゃんばあちゃん含めて地域の人とやろうと思うと、例えば僕が考えつくのは30通りくらいだとするじゃないですか。それでマニュアル作ったとしたら30通り以上は出来ないんですね。なので、うちの事業所にはマニュアルはありません。お風呂にはいる時間も決まっていません。スタッフには何をしても構わないと言っています。

うちのスタッフには、障害を持っている方もいますし、年代も様々です。僕よりはるかにホスピタリティが高い人もたくさんいます。だから色んなサブゴールも生まれてきます。

中には違うベクトルに行こうとするスタッフももちろんでてきます。転んだらどうするの?とか、風邪ひいたらどうするの?と話をするんですが、そんなことを言ったら介護の仕事できないだろって話ですよ。だって自立しているんだもん。目的は転ばないことでも風邪をひかないことでもなく、その方が介護というツールを使ってどういう幸せを手に入れるかですね。間違ったベクトルに行こうとする職員に関してはちゃんと学ぶ機会をつくっています。

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これから結婚式の動画を流します。

つい先日、11/7の話ですが、うちのスタッフさんの結婚式をうちの事業所の庭でやりました。この結婚した女の子がうちのスタッフなのですが、お母さんがシングルマザーで中学校1年生の時からうちの事業所に入り浸っています。家に帰ってもお母さんがいないからうちに来て、おたがいさんで風呂に入っているんですよ。うちのシャワーより出がいいってね。(笑)

高校卒業するときに僕に一言の相談もなく就職先はあおいけあと言っていました。学校の先生から「この度は内定有難う御座います」って電話がかかってきて、「はあ?」って。「新卒採用?え?」って。その後も5年間そのまま働いています。

そして、22歳になって結婚式を挙げたいと。結婚式は開かないけど、ここでじいちゃんばあちゃんに祝って欲しいと。

地域の方も入って来て、この子が看取ったおじいちゃんおばあちゃんのご家族の方もたくさん来てくれました。末期がんのおじいちゃんがバージンロード一緒に歩いてくれたり、神父さんもおじいちゃんがやってくれて、ご飯を作ってくれたのも全部ばあちゃんたちです。

※結婚式の動画はあおいけあのFacebookページでご覧頂けます。

あの子は介護職で、「ここでしか結婚式はあげません。」と。旦那さんも土建関係の仕事なのでお金はそんなに多くは持っていないけど、不幸せでしょうか。トップゴールとして「よりよい人間関係」を掲げる中で、これも1つのサブゴールのカタチだと思うんですね。色んな仲間が集まり、色んなカタチが生まれてきてすごく楽しいです。

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その中で皆さんに1つ考えてほしいんです。皆さんの中で、スタートとトップゴールは一体なんなのか?例えば、なんで介護職を始めようと思ったのか?例えば秋本さんだったとしたらHEISEI KAIGO LEADERSを始めようと思ったきっかけがスタートだったりするけど、たぶんHEISEI KAIGO LEADERSで今日のイベントを開催することは彼女のトップゴールではないと思うんです。トップゴールをやるために運営に関わる仲間達がたくさんいて、いろんな人たちが来てくれたよって状況があるわけだけど、じゃあトップゴールは何なのか?

僕にとっては、人との関係が良好で、過ごしやすい関係があれば、たぶん幸せだと思うんです。お金がそんなになくても寂しくないし、豊かじゃなかったとしても多分僕は幸せを感じられることが出来る。

例えば、日本の中でいつの時代が幸せだったのか紐解いていくと、明治の初期だったりするんですよ。えーって思うかもしれないけど、当時、鎖国が終わり、外国の人が入って来たけど日本の悪口を書く人は誰もいなかったんですよ。とにかく、貧しいけれども不幸じゃない。

子供たちは全員読み書きできるし、5人組もあって助け合って生きているし、素晴らしい国だって外国の方が絶賛したんですね。それが、今の社会ってどうでしょう?

年間、若者の死因の第一が自殺ですよ。年間3万人以上の人が自殺ですよ。東京マラソンで言ったらスタートしてから、人がいなくなるまで20分くらいかかりますよね。毎年あの人数死ぬんですよ、自殺で。

だから、豊かさと幸せって多分違って、その中で僕らの世代は幸せの尺度を持っていなかったりとか、社会から振り回されて、弾かれているイメージを持っちゃうから違って思っちゃうんじゃないかなと思うんです。

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このあと1人1人がワークシートにスタートとトップゴールを記入し、グループになってシェアしました。

後編は、そもそもなぜ地域を巻き込む必要があるのかを社会的背景から紐解き、今求められている在宅介護サービスのカタチと理想の社会づくりに向けた誰でもできる地域住民を巻き込む一歩をお教え頂きます。

後編はこちら

次回は排泄ケアの常識を覆す、排泄のタイミングが分かる排泄予知でバイス「DFree」を開発するトリプルダビュリュージャパンの中西敦士氏をお迎えします!詳細はこちら

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(文:秋本可愛 イベント当日写真:古川佳裕 その他写真提供:株式会社あおいけあ)

[PRESENT_03番外編]地域包括ケアシステムに欠かせないもの

many many Quiche!

先日開催したPRESENT_03、番外編として当日の食事についてご紹介します。

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会場に入ると、たくさんのまあるいキッシュが皆さんをお出迎え。
あたたかいオレンジ色のキッシュのまわりには、毬栗や色づいた葉。

秋を感じさせるその姿に参加者の顔がほころぶ。

堀田さんのご講演、参加者との対話の時間・・・。
それだけで、満足してしまいそうですが、
見た目も味も美味しいキッシュは、参加者をより一層楽しませてくれました。

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まあるいキッシュは、わたしたちが目指す地域のカタチ。
そんな地域に欠かせないエッセンスを、色んな味で表現しました。

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4つの味と、1つ1つに込めた想いをご紹介します。

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一番人気は、秋刀魚のキッシュ!

「秋刀魚」
秋といえば、秋刀魚。
これからの寒さに備え、免疫力を高めてくれる。
旬を楽しむことは、
健康な生活に欠かせないこと。

 


旬の食材は、季節の変化に備え、私たちの身体に必要な栄養を与えてくれます。
秋刀魚のキッシュは、健康でいきいきと暮らせる地域をイメージしました。

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「インカのジャガイモグラタン風」
サツマイモなのか、栗なのか、かぼちゃなのか。
その美味しさは、ジャガイモであることの拘りを
忘れさせてしまいます。

 

 

介護職だけでは、高齢者を支えることはできません。
色んな人と人との連携が求められる中で、大切なのは職種や法人の拘りではなく、その人にとってのハッピーをつくること。インカのジャガイモグラタン風のキッシュは、そんな真の連携をイメージ
しました。

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もはや意味不明だったのが、茶碗蒸し風キッシュ!

「茶碗蒸し風」
茶碗蒸し風のキッシュなんて、ありなのか?
新たなコラボレーションは、
あなたの冒険心をくすぐります。

 

 

銀杏まで乗っかった茶碗蒸し風キッシュ。誰もが「合うの?」って思ってしまうと思います。自分たちの創造を越えた新たな連携が価値を生む可能性を表現しました。実際に美味しくて良かったです。(笑)

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「アップルパイ風」
まあるくて、あまいキッシュは、
自然と人の笑みを引き出し、
あたたかい気持ちに。

 

 

 

地域にはあたたかい人で溢れていることをイメージしました。みんなあったかい、同じ人間であることを忘れないで欲しいという願いを込めて。

皆さんは、どの味がお好みでしたか?
次回の食事もお楽しみに!12108109_313970252106520_1745837852471701560_n12047134_313980828772129_7179892281314101034_n

毎回無茶ぶりを一緒に考えて、楽しくカタチにして下さるsunshine grownの國崎さんには、心より御礼申し上げます。

(文:秋本可愛 写真:北村真理)

「介護をする人も、介護をされる人も温かい」ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン代表 志村真介氏が語る対話の可能性

「PRESENT」は、「live in the present(今を生きる)」という私たちの意志のもと、私たちが私たちなりに日本の未来を考え、学びたいテーマをもとに素敵な講師をお招きし、一緒に考え対話し繋がるご褒美(プレゼント)のような学びの場です。

1つの目標年数として掲げる2025年。私たちの欲しい未来は、今の積み重ねによってつくられます。その今の積み重ねが未来のプレゼントとなるようにと、想いを込めて企画しました。

前回のレポートは大変長文にも関わらず多くの方にご覧頂き、大変好評頂きました。(やっぱり)今回も、想いを込めすぎて長くなりましたが、どうぞ皆さん最後まで根気よくお付き合い頂けたらと思います。

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2015年8月8日、「ダイアログで介護は変わるのか?」をテーマにダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパンの志村真介氏にお越し頂きました。株式会社ディスコ様に会場協賛頂き、飯田橋にある「神楽坂Human Capital Studio」にて、開催致しました。

メインコーディネーターは代表の秋本可愛、サブファシリテーターはPRESENT運営チームメンバー医師 田中公孝が務めました。

最初に秋本から、PRESENTのコンセプトと、なぜ「ダイアログで介護は変わるのか?」というテーマでイベントを開催することになったのか伝えられました。

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『ダイアログで介護は変わるのか?』と、少し挑戦的なテーマではありますが、このテーマを設定したのは、私自身、「ダイアログで介護は変わるのではないか」と、可能性を感じているからです。

今、この超高齢社会において、様々な課題で溢れています。早期離職、介護うつ、虐待、介護離職・・・。今ある問題の全てと言っても過言ではないほどに、「人と人との関係性」が密接に関わっています。

例えば、介護人材の離職の問題。人材獲得、定着は介護業界にとって大きなテーマです。離職のその最大の理由、皆さんもご存知の通り、人間関係にあります。

私は若手に限らずこれまで多くの介護従事者とお話をさせて頂く機会がありました。1人1人話を聞いていると、とても素敵な思いを持っています。ですが、不思議と組織の中ではその思いは見えなかったり、活かされていない現状があるどころか、素敵な思いを持った人同士でも良好な関係を築けていなかったり、強いては問題を引き起こしてしまうのです。

他にも、現在高齢者を地域で支えましょうという方針の中で、多職種連携の重要性がうたわれていますが、個々人は同じ方向を目指しているにも関わらず、専門職としてや、組織の代表としてとなるとなかなか話が進まないどころか、本来ある同じ思いすら見えなくなってしまいます。

もっと1人1人がありのままに、対等に会話し関係を築くことができたら、もっと介護の世界は良くなるのではないかと思い、本日は志村さんをお呼びしました。

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志村氏の講演は、「ダイアログで介護は変わるのか?」というテーマのもと、前半は人生をかけてダイアログを広めようとしている志村さんの想い・問題意識からダイアログの重要性を掴み、後半は実践に基づくお話の2部構成で行われました。

講演はスティーブ・ジョブズのこの言葉から始まります。

 

「Stay Hungly, Stay Foolish」

人生の時間は限られている。

あなた達は誰かが考えた結果に従って生きて行く必要はありません。

自分の内なる声が雑音に打ち消されないことです。

最も大切なことは自分自身の直感に素直に従い勇気を持って行動することです。

それ以外のことは全て二の次でいいのです。

 

「この言葉は、とても大切ですが、忘れがちです。例えば、今日のような学びの場では情報は外から入ってくると思いがちですが、話の中にヒントがあるのではなく、話を聞いたり、人と出会ったりする中で、自分の奥深くから湧いてくるものなんですね。答えはもう皆さんの中に既にあるのです。」と、冒頭お話しがありました。

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志村さんは昨年2月22日、イベントでの講演中に背中に激痛が走り、病院に運ばれました。診断の結果は、大動脈解離。95%がその瞬間に死に至り、その後の対応が遅れるとその多くが命を失ってしまいますが、奇跡的に手術は成功し、後遺症が残ることもなく奇跡的に回復されました。

後遺症として目が見えなくなる可能性があると言われていた当時、不安に思っていた志村さんにダイアログ・イン・ザ・ダーク(以下、DID)でアテンド(暗闇の案内役)を務める視覚障がい者は、「別にいーよ。目が見えなくなったら、アテンドすればいいから。見えないくらい、なんでもないんだから。」と伝え、例えば目が見えない夫婦は、2人の子育て中にも関わらず「代表が倒れて大変なんだから」と、子供を保育園に預けるなどしてDIDに復帰、多くの人がDIDを支えています。

志村さんがお一人での講演活動を再開したのは、まだ今年6月のこと。退院した当初は寝返りすら打つことができず、今日に至るまで懸命にリハビリに取り組んでこられました。

元気なときには思いもしていなかった介護生活を一番近くで支えてくれたのは奥さんである、バースセラピストの志村季世恵さん。志村さんは、倒れる前に100万回くらい季世恵さんにプロポーズをされていたそうなのですが、断られ続けていました。倒れたときにストレッチャーに乗って手術室に向かう途中、季世恵さんに「生きて帰ってきたら一緒になってもいいよ」と言われ、こうして戻ってくることができ今一緒にいると、恥ずかしそうにお話して下さいました。

そこから始まった、「バースセラピスト志村季世恵式リハビリ」!
(志村季世恵さんの著書「さよならの先」のFacebookページはこちら)

おにぎりを握ったり、みかんやりんごの皮を向いたり、夏には七夕用の笹を取りにいき、秋には落ち葉狩り。五感を開き、どんな時でも遊び心を忘れない。

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志村さんのFacebookより 3月15日のリハビリ日記。

「みかんの皮を剥くだけでは面白くないので、指を突っ込んでどこが一番気持ちいいか確かめたりしていました。バカみたいなんですけどね。」と。日常の暮らしにある食や四季を楽しむこと、きっといつも以上に丁寧に楽しむこと、それが結果としてリハビリになっていたという印象を受けました。

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志村さんのFacebookより、倒れてから約1ヶ月・3月21日リハビリ日記より。写真に添えたコメントには、「さて5周年の乾杯は野菜ジュースに。林檎、人参、小松菜、蜜柑、檸檬。乾杯しようと季世恵さんにグラスを渡すとありがとうと言いながらにっこり笑い「はい、しんちゃん、もっと手を遠くまで伸ばして~!かんぱーい!!」リハビリ乾杯…。ううう、痛い、痛いよ。この乾杯、痛い」と記載。

季世恵式リハビリに取り組む中で、「これまでできないことばかり数えていた自分が、できることを少しずつ見つけていけばいいんだなということに気付きました」。


このあと、季世恵
さんが熱で倒れられたときにマスクに鼻と口を書いている写真をご紹介頂きました。相手が寝込んで、色々としてあげたいけど、またできないことを見つけ始めてしまう志村さんを気遣って行ったことのようです。

「こうやってやられると、こっちは笑うわけですよ。笑うと深刻さがだんだん溶けていくんですよ。きっと、明日死んでしまう、あと数時間で死んでしまうという中でその深刻さをいくら言っても、そこで笑ってても、きっと、変わんないってことを知ったんですね。

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DIDには、これまで様々なお客さんが来場されました。その中には余命10日と宣告されているがんの末期の方もいらっしゃいました。ダイアログの医療チームのバックアップによりDIDをご体験されていました。体験後、暗闇の中では、「がん患者」ではなく、”ただの自分”に戻れ、自由になれたと感想を話されていました。脳科学者の茂木健一郎氏は、「DIDの暗闇の中は胎内のような絶対な安心感がある」と言います。

「声帯を削除し声を出すことができない参加者のときは、丁寧に、丁寧にコミュニケーションを取り、暗闇の中でどうすれば良いか事前に話し合いました。暗い中で声が出せないとすごく怖いんです。じゃあ、手を何回叩いたら出ようというルールになったのですが、声が出ないと楽しい時に『楽しい』って言えないんですよ。ただ彼女に聞いてみると、口笛は吹けることが分かり、その時の参加者だけ、楽しいときは口笛を吹くというルールにしました。そうすると、暗闇の中で口笛が聞こえ、次第にハモってきて、終いには一曲口笛で演奏しました。」

何らかの障害をお持ちの方に体験して頂くためには、リスクも大きいためストレスを感じることもありますが、その方々を丁寧に受け入れるプロセスの中で、これまでよりも質が上がっていくことを教えられたと、志村さんは仰います。DIDには、このような特別なケースのためのマニュアルがあるわけではありません。「耳が聞こえ辛い」と言っても、低い音や高い音、左耳か右耳どちらが聞こえづらいのか、1人1人異なります。そのため、『全ての人に特別に』というコンセプトのもと、1人1人のできることに光を当ててサービスをつくっているのです。

現在日本には、年間3万人もの自殺者がいます。尊いかけがえのない命を自ら死を選択する前の過程で、「助けて」と声をあげることができないのです。DIDでは、暗闇のプロジェクトとして人と人とを繋ぐことを付加価値として提供しています。不思議と明るい中では、「ありがとう」という言葉も恥ずかしくて伝えられないことがあります。暗闇が生み出すその人らしく在れる対話の場は、社会問題解決の一助となるかもしれません。

ダイアログの社会課題解決への可能性を感じる中、志村さんから会場に次の問いかけがありました。

対話によってあなたは解決したい問題がありますか。
それはきっと、相手がいると思うので、誰との関係やどんな問題をご自身の中に抱いているのでしょうか。

このあと3~4人に分かれて志村さんからの問いのもとグループワークを行いました。

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参加者が書いた「対話で解決したい課題」

後半はこれらの課題を解決するために、志村さんから具体的な実践に結びつくお話を頂きました。

「私どもダイアログ・イン・ザ・ダークの願いは、全ての人がそれぞれの個性を生かし、どちらかが無理することなく、誰もが生まれてきて良かったと思える、そんな社会を作ろうとしています。」

今年志村さんが出版された書籍「暗闇から世界が変わる ダイアログ・イン・ザ・ダークの挑戦」の帯には、次のようなメッセージが記載されています。

違いを知るということは、自分の世界を豊かにするということ。
ダイアログ・イン・ザ・ダークは、違いを知るための最高の装置だ。
───乙武洋匡氏

「皆さんが今、課題として出されたことはもしかしたら相手と融合することを意識されているかもしれません。例えば、相手に分かって欲しいとか、相手を分かりたいと。乙武さんは決してそうではなく、相手との違いをまず知ることだと仰っています。」

今、ヨーロッパではDIDだけでなく、耳が聞こえない状況のなかで聴覚障害者がアテンドする「ダイアログ・イン・サイレンス」と、70歳以上の高齢者がアテンドする「ダイアログ・ウィズ・タイム」も実施しています。耳が聞こえないこと、目が見えないこと、高齢であることは一般的にマイナスなイメージがありますが、彼らだからこそできることとしてポジティブに変換するプロジェクトが生まれています。

日本でも、2020年までにこの3つの対話のミュージアムをつくろうと始動しているとのことで、とても楽しみですね!!!

 

最後に志村さんが16年間DIDを運営する中で、具体的に日常で意識的に行っていらっしゃることをご紹介頂きました。

  1. 話しを最後まで自分の感情を入れないで聴く
    倒れる前は、先読みして自分の言葉を差し込んでしまい最後まで聞くことができませんでした。しかし、DIDの視覚障がい者のアテンドは、とても丁寧に話しを聞きます。決してその人の話しが終わるまで自分の言葉は差し込まず、丁寧に聞きます。今は最後まで聞けるようになりましたが、自分の感情が入ってしまい、ニュートラルに聞くことができません。そのため毎日トレーニングをしています。
  2. 朝、知らない人に挨拶をする
    毎朝誰かに絶対出会うと思うのですが、挨拶することってありますか。例えば掃除をしている人や、駅員さんなど、街中で色々なことをやってくれている人がいて、その人に「おはようございます」と挨拶をします。不思議と、100%返してくれます、朝は。(笑)日本の場合、無言の朝が多いので、知らない人に挨拶をします。
  3. 高速道路の料金所の人に微笑む
    私は車に乗ることが多いのですが、インターチェンジでETCがないところに遭遇する事ってありますよね。そのとき「なんで止まらないといけないんだろう」と思ってしまい、窓を閉めてガーンと行くと季世恵ちゃんに強烈に怒られるんですよね。何故かお金を出した方が、偉いと感じて対等でいられないときってありますよね。でも彼女は、もしかしたら料金所のおじさんは「事故が無いように」と思いを込めて声をかけていたり、お釣りを渡しているかもしれないと言います。その気持ちを無視せずに微笑むんです。些細な事ですがそのこで、暗闇をつくらなくても社会は段々と、良い方向に向かうかもしれません。

このあと後半のワークでは、志村さんから「社会や相手が悪いと決めつけるのではなく、私事として皆さんはどんな一歩が踏めますか」と問いかけがありました。

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ご参加頂いた方の一歩は・・・

  • 1日1回必ず1人1人に感謝の言葉を伝える
  • 大切な人と対話をする
  • 自分のエゴが動いた瞬間を振り返る
  • 少し遠回りをして帰る
  • 電子機器に頼らず、対面で話す場をつくる
  • 1ヶ月に1回親父、お袋に会いに行きコミュニケーションをする

1人1人の思いの先にいる大切な人の顔が見えるような、とても暖かい対話が繰り広げられました。

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「ダイアログ」というテーマから、今回は「対話を生む食事」をコンセプトに東京の八百屋集団「Sunshine Grown」さんに素敵なお食事をご提供頂きました。

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一見食事なのかもわからない見た目に、「何これ」「どうやって食べるの」と参加者の会話を弾ませました。また、今回も参加者の方からお酒の差し入れを頂きました。ありがとうございました。

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イベントラストは、志村さんとのQ&Aへ。秋本がコーディネーターを務め、事前に参加者から寄せられた質問にお答え頂きました。

秋本:私は今日が志村さんと直接お目にかかるのは4回目なのですが、実は初めて志村さんとお会いしたのが昨年の2月22日、志村さんが倒れられた日だったんですね。今日1年半の時間を経て、こうやってお話を聞けるのがとても感慨深く思います。きっと1年半前とは全く違う話が今聞けていると思うのですが、介護される側になる前と、介護を受けた後、ご自身の中にどのような変化がありましたか。

志村:介護をされている人たちは自分の意思で選んでそうなったわけではなくて、いつの間にかそうなったという感じで言わば宿命なんですよ。その宿命を卑下するようなプロセスと、ゆっくりと受け入れていくという2つの選択肢があるでしょう。受け入れていくプロセスは柔らかい感性が重要なのです。そうすればこの宿命から、使命に変容させることも出来ます。

それが倒れる前は、A地点からB地点に早く行くのが効率的でいいと思っていたのですが、介護を受ける側になってそのプロセスをいかに楽しめるかという在り方に変わった気がします。例えば今日ここに飯田橋の駅からここまで皆さんは誰かと話されてきましたか?

参加者:誰とも喋っていません。

志村:誰とも話をせずにここにダイレクトに来られ、もしくはスマホを見たり、地図を見たりして、誰とも話さずに話をする場に来られたんですね。それがDIDのアテンドの場合、ここに来るまでに3人か4人、道を聞いたり、連れ添ってもらったりしながら来るんです。その間も無口だとお互い怖いんで「今日暑いですね」とか色んな話をしながら、全然知らない人に「ありがとうございました」と言って、ここに来ます。とても豊かな日常ですよね。

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秋本:柔らかい感性を持てるまでの過程で、効率を求めないことで得られるものに気付いたり、そもそも以前とは違う身体の状態を受け入れること・・・とても大切なことだなと思うのですが、とても難しいですね。「対話」はどこまで効果があるものなのでしょうか。

志村:参考になるか分かりませんが、とある脳科学者が行った、3つのチームに競い合わせてどのチームが一番ゴールに近づけるかという研究があります。

  1. IQの高い人を集めたチーム
  2. その業界に精通している人を集めたチーム
  3. お互いが「今日ちょっと体調悪いんじゃないかな?」とか、「会社来るときに嫌なことあったんだな」という風な機微が分かる人を集めたチーム

普通はIQが高い優秀な人材を企業は求めます。また、介護業界であれば専門性の高い人や業界に精通している人を集めるかもしれません。しかしこの研究の結果では、3の人の気持ちがわかって対話できる柔らかい関係性であるチームが最も結果を出します。今、この変化の激しい時代には、これまでの成功パターンが成功へと導きません。IQが高いと全く新しいプロジェクトをやろうとしても、できない理由を言い始めます。また、業界に精通している人達は、固定概念があるので「やってもしょうがない」と、始めからやりません。だからイノベーションが起こるのは、3のようなチームなのです。だから対話が必要なんです。

秋本:それは面白い研究ですね。対話をする中で、例えば話を聞く側のとき、自分自身の色んな感情が湧いてきたり、内なる声が聞こえてきます。そのとき自分自身の声との対話はどうすればいいのでしょうか。

志村:実践して上手くいっていることとは言えませんが、DIDの中で、「食禅(じきぜん)」という禅宗の和尚さんをお招きして行うプログラムがあります。

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志村:3つお椀がありまして、おかゆと漬物と胡麻塩とを丁寧に丁寧に・・・

その中で禅の話を色々教えて頂くのですが、例えば座って瞑想をしているとき、色々な雑念が飛んできますよね。それを抑えようとしたりするじゃないですか?なんかこう無にならないといけないと。

しかしその和尚さんは「無にならなくてもいい」とおっしゃいます。人だから勝手に湧いてくるんですよね。湧いてくることはいいと。ただ、それを追っかけなければいいんです。例えば朝起きて何となく不安だな〜と感じていたり、会社行きたくないな〜と思ったりしても、今そういう気持ちがあるんだな〜って気付いてあげるだけでいいんです。それを今日会社に行ってあの仕事するのは嫌だからな〜と追いかけ始めると、朝日を見て美しいなと感じる今の心がなくなってしまう。分かったような、分からないような話ですが、未来と過去に縛られると今がなくなってしまうんですよね。

秋本:聞いていて、頭では分かっていても難しいなって思ってしまいますね。とくにマイナスな感情が湧いてきたときは。

志村:いや、難しくはないんですよ。やってみるとできることだから。難しいなと思った感情があると難しくなるから、簡単でも難しくもなくて、ただそうだなと思う。

秋本:今、そう思おう、思おうとしています。(笑)

志村:(笑)

秋本:それでは最後に、例えばケアする人と患者さんの関係を築く中で、そもそもご本人が関わりを求めていなかったり、そもそも言葉として交わすことがなかなか難しい状態の方でも、ダイアログで生まれる関係性や深い気づきを得ることはできるのでしょうか。

志村:難しい質問ですよね。これ最後ですか?(笑)

秋本:はい(笑)

志村:今日ここに皆さんが来られたのは大体6時半位ですかね?今何時くらいですかね?

秋本:今9時15分くらいです。約3時間半が経とうとしています。

志村:では少し、目をつぶってみてください。3時間半も一緒にいたので、お互いのことをよく知っていると思います。では、皆さん目の前の人、もしくは隣の人の、服、靴や髪型を明確に伝えられる人は、目をつぶったまま手を挙げてもらっていいですか。

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志村:各チーム1人もいませんね。これって何故でしょうか?皆さんは視覚に障害があるわけではなく、目は見えて、グループの人と真剣な話しをしてきました。皆さんは「視覚」があるにも関わらず、目の前で話した人の服すら見ていないんです。視覚障がい者は、もし3時間半あれば確かに目は見えませんが、一緒にいる人の特徴は大体話すことができますし、もっともっと関わっているんだと思うんですよ。皆さんは目を使っているが故に、こういうことを何となくにしてしまっている。

では、恥ずかしいかと思うので、目をつぶったまま隣の人と手を繋いでみてください。

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志村:ね、これでつながりましたね。意外と手の感じは違いませんか?左の人は大きかったり、右は小さかったり、ウエットだったりドライだったり。

会場:(笑)

志村:そうなんですよ。右手と左手の人はこれまで触ってきたものも違うし、考え方も違うし、人生も違うし、当たり前なんです。だってみんな違うもの。

まだ目を閉じたまま。

温かくなってきましたか。人の手って温かいんですよ。だから上司も温かいし、介護する人も温かいし、介護されている人も温かいんだけれども、たかだか1m30cm離れるだけでこの温かさがわからないんですね。

会社や満員電車だったらセクハラだと見られるかもしれませんが、その中でも人はこういう体温を持って生きています・・・。皆さん方は今日目をあまり使わなかったので、その手を握ったまま静かに目を開けて、今度はそのチームの方を自分の目で、よーく見てあげてください。

会場://(照笑)

志村:では、手を離してみて下さい。

会場://(照笑)

志村:これが人と人が出会った時に相手を感じるということです。これがない限り、いくら対話しようが全く意味がありません。今この会場の雰囲気がちょっと変わったのを感じませんか?

会場:(うなずく)

志村:空間自体がやわらかくなったというか、なんとなくチームが仲間っぽいし、なんとなく信頼できるようになった感じがしませんか。でも、人数も変わっていないんですよ。椅子も机も何も変わっていません。何が変わったかというと、人を視る力、人との関わり方、人への興味や好奇心とか、そういうものです。だから私たちは暗闇の中でこれに挑戦しています。しかし、本当は暗闇をつくらなくてもこういう明るいところでできるのが理想なんです。その日が来るまで暗闇を作り続けるしかありません。できるだけ1日でも早く暗闇を作らない方がいいと思っています。できるはずです、人だから。そんな感じで今日は終えたいと思います、ありがとうございました。

イベントのおわりは、会場全体が暖かい空気に包まれ、この日の学びの場を築いた全ての人に拍手を送って、締められました。

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最後に次回のイベントのお知らせです!次回は10月4日、堀田聰子さんをお招きし、「地域包括ケアシステムって結局、何?」をテーマに開催致します。

現在、「病院・施設から在宅・地域へ」をコンセプトに地域包括ケアシステムの構築の重要性が至るところで問われています。つまるところ、どんな状態なのでしょうか。そのために私たちはどんな姿で10年後を迎え、どんな働き方をしているのでしょうか。数多くの先進事例を研究する堀田聰子氏が考える「地域包括ケアシステム」の未来のカタチに迫りたいと思います。

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『PRESENT_03 堀田聰子』 詳細・お申し込みはこちら

次回も素敵な学びの時間を皆さんとともにつくれることを、楽しみにしております。

 

(文:秋本可愛 写真:北村真理)

「介護にイノベーションを起こすのは難しい。」医師 武藤真祐氏が語る2025年に向けた一歩とは

HEISEI KAIGO LEADERS新企画、欲張りな学びの場「PRESENT」。

この企画は、「live in the present(今を生きる)」という私たちの意志のもと、私たちが私たちなりに日本の未来を考え、学びたいテーマをもとに素敵な講師をお招きし、一緒に考え対話し繋がるご褒美(プレゼント)のような学びの場です。

1つの目標年数として掲げる2025年。私たちの欲しい未来は、今の積み重ねによってつくられます。その今の積み重ねが未来のプレゼントとなるようにと、想いを込めて企画しました。

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2015年5月23日、記念すべき初回は、「2025年問題への突破口!現場からイノベーションは起こせるのか。」をテーマに医師の武藤真祐氏にお越し頂きました。上野にある「いいオフィス」にて、70名を越える方にご参加頂きました。

メインコーディネーターは代表の秋本可愛、ファシリテーターはPRESENT運営チームメンバー医師 田中公孝が務めました。

最初に秋本から今回のイベントコンセプトが伝えられました。

PRESENTのコンセプトは、「聞く、考える、対話する、気付く」場です。ただ主催者や講師の話を一方的に聞いて帰るのではなく、聞いたことをその場で考えて、自分が考えたことや感じたことを参加者同士が対話することによって、より深い“自分の気付き”として持って帰って頂きたいという意図が込められています。

また、対話のルールとして、以下の4つが設けられました。
1.「私」を主語にして語る
2.経験談や主観を歓迎する
3.人は違っていて当たり前
4.あえて判断を保留する

秋本からは、「よりよい学びの場をつくるために、テーマの設定、武藤さんとのお打ち合わせを含め、できる限りの準備をして今日この場を迎えました。オープンした今からは、みなさんとともに良い学びの場をつくっていけたらと思います。」と話がありました。

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武藤氏の講演は、「2025年問題への突破口!現場からイノベーションは起こせるのか?」というテーマのもと、前半は想い・問題意識編、後半は実践編の2部構成で行われました。

前半の講演では、「どのような思いを持って、現在の活動を行ってきたのか」という武藤氏の想いの部分のお話をしていただきました。

武藤氏は、東京大学医学部を卒業され、最先端の医療環境の中で医師として順風満帆な出世コースを歩んでこられました。しかし、10年間歩んできた中で、1つの疑問にぶつかります。

「医師として自分が目の前の患者さんを診ることは非常にやりがいがあるし、目の前の患者さんに貢献できているという実感が得られるし、ものすごく価値がある。しかし、この積み重ねだけで、医療の環境は救われるのだろうか。

大きな疑問を持ちながらも、「何を他にやれるのか、さっぱりわからなかった。ただ、何かしら社会をよくしたいし、困っている人がいたら、助けてあげたい。ただ、やりたいと思っても、そのための道具・スキルがない。」武藤氏は、どうしたらよいのか考えたと言います。

そして、問題解決能力、プレゼンテーション能力などのビジネスで使われているようなスキルを身に着ける必要があると感じ、コンサルティング会社マッキンゼーに転職されます。

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マッキンゼーに転職され、2年間コンサルタントとして働く中で、武藤氏は、2つのことに気が付きます。

1つ目は、コンサルタントとしてクライアントのためと思って考えた戦略が現実的でなく、現場でできないということがありました。一方、現場でこうあるべきだと考えたことでも、うまくいかないこともあることから、コンサルタントとしてのマクロの視点(鳥の目)現場の視点(虫の目)、両方のバランスがうまく組み合わさった時に、現場からのイノベーションが生まれるということ。

2つ目は、少子高齢化問題、とくに高齢化の問題は日本がこれから直面する最大の社会問題であり、財政を含めて大きな問題の根底をなしており、あらゆるところにゆがみを生んでいること。武藤氏はこの問題に関わる現場を作りたいと思い、2010年1月、在宅医療のクリニックを設立されます。

武藤氏は、クリニックを設立する際に以下のことを大切にしていたと言います。

患者さんや利用者さんに関わるすべての人が、プロフェッショナルな集団であること」
どんなによい医療や介護を提供したとしても、他の部分で良くない対応をすると組織として意味がなくなってしまう。だからこそ、患者さんやご利用者さんに関わるすべての人がプロとなる必要があるということです。そのために実行していることをご紹介頂きました。

  1. フラットな組織
    医師が一番えらいという考えはありません。医師にしか決められないことはもちろん医師が決めますが、対等に看護師や介護士が話し合って、一番良いケアをつくりあげていくカルチャーをつくっていっています。
  2. 1人1人がマネジメントを学んでいる組織
    普段医師は「マネジメント」を学ぶ機会がありません。例えば私たちは「ドラッカー365日の金言」という本を朝会で全員で読んでいます。全ての人がマネジメントを理解するようにしています。
  3. それぞれがそれぞれの役割に専念できる環境がある組織
    以前病院で働いた時、医者が医者の仕事を純粋にしている時間は短いと感じました。書類を書くなどの雑務が大変多いため、医者が医者としてやるべきことをできる環境をつくろうと思いました。看護師も同じです。それを事務職や介護職などを良い形でトレーニングしていくことでやりました。また、医師が訪問してカルテを書く時に、コンタクトセンターに電話してカルテの中身を口述します。そのセンターが石巻にあって、聞いた人がそれを全て入力してくれます。医師が戻って来たらカルテがほとんどできていて、最後に少し修正するだけで済みます。例えば施設に回ったときは一気に30人くらい診察するため、午後は全てカルテに当てなければならなくなります。しかしこのシステムを導入したことによって1時間で済むようになりました。

仕事を全て見直して、誰がすべきなのかをゼロベースで整理し直し、ITの力を駆使することによって現在の組織体制を築かれてきました。

前半の最後に武藤氏からは、「ここまでに至ったのは、とても簡単なことがきっかけです。大学病院で働いていたときに非常勤として在宅医療に行ったことが忘れられませんでした。大学病院でかっこいいカテーテルの処置をやっているときには全く見えてこなかった現状が、家ではあるんです。古びた家の中に高齢の住人が1人で寝ていて、薬は飲めずにその辺に放ってあるような状況がありました。皆さんも目にしたことがあるかもしれませんが、あれが本当の高齢化の現状なのです。整った環境の中でやる病院の医療はごく一部でしかありません。これが高齢社会の現実で、こういう状況の高齢者が増えてきたときに、今の病院医療だけでは解決できない問題があるのではないかと思ったことが原点です。皆さんもそれぞれ皆さんの現場があると思います。そこで何か問題があったときに、『しょうがないな』とか、『当たり前なんじゃないの』と放っておけば、誰も解決できないかもしれない。しかし、『おかしいな、このままではいけない』と思う態度そのものが大切なのではないかと思います。皆さんがそれぞれ今現場でどんな問題意識を感じているでしょうか。」と問いかけがありました。

このあと3~4人に分かれて「あなたが現場で抱いた問題意識、あなたの想いはなんですか?」という問いのもとグループワークを行いました。

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介護士、医師、看護師、経営者、IT系、金融、それぞれがそれぞれの立場から感じる問題意識や想いをスケッチブックに記入し、それをもとにシェアし合いました。

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後半は、問題意識を抱いた1人1人がどうやって解決のためのアクションを起こして行くのかについてお話頂きました。

「コインの裏返し」はしない
コンサルの世界でよく言われる言葉です。例えば、「医者不足だから医者を増やそう」「時間が取れていないから時間をとろう」というような単純な思考ですぐに解決策に走る人がいますが、これは根本的な解決にはなりません。

問題を解決するにするには、まずは、何が問題なのかを特定することから始まります。そして、何を、いつまでに、どれくらいというように数字を加えた具体的なゴールを設定するということが非常に重要です。問題を特定するのは、MECEやso what,whyなど様々な手法が使われます。

しかし、その問題を特定すること自体がそもそも難しいため、問題を特定するには何が必要かという考える「デザインシンキング」が、ここ約10年間で広まってきています。

デザインシンキングで重要なことは、2つ。

1つ目は、観察と共感
介護や医療であれば、目の前の患者さんや利用者さんに対して、先入観を持たずに、その患者さんや利用者さんが本当は何に困っているのかを様々な視点で徹底的に観察をし、その患者さんや利用者さんの立場に共感して、考えることです。

2つ目は、プロトタイプをつくること。
目に見えるプロトタイプ(試作品)を作り、みんなで見て検証することやユーザーに使ってもらうことを繰り返しながら精度を高めていきます。最初から完成品である必要はなく、早めにやってみることが重要です。これは「現場からのイノベーション」という今回のテーマにおいてはとても大切です。経験が多いほど自分の思いが強くなるので、まずは自分が見ているだけではなく、他者の視点をできるだけ多く収集し、もう一度ブレインストーミング(集団でのアイデア交換)をして考えます。そのときの視点は利用者にあることを忘れないで下さい。

武藤氏からは、「皆さんには前半、ご自身が抱く問題意識について話をして頂きましたが、もう一度引いて、自分の目線だけで語っていなかったかもう一度考えてみて下さい。」と、会場に問いかけがありました。

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お話の中でご紹介のあったアメリカのデザインコンサルティング会社IDEOが掲げるデザイン思考の5つのステップ

以上の方法で、どんなによい問題解決方法を見出したとしても、誰かがやらなければ意味がありません。そこで強調したいのが「リーダーシップ」です。

どのようにリーダーシップを発揮していくのか、武藤氏が大切にしている5つのことをご紹介頂きました。

  1. 道徳心
    道徳心は、 物事の判断に迷ったとき、振り返っても「あのときの判断は間違っていなかった」と自信を持って言えるかということです。善悪の判断をするためには、個人の経験も大事だが、社会通念を持っていることだと私は思います。いわゆる教養の本を読んで身に着ける時間は、リーダーにとって非常に重要だと考えています。
  2. 物事の本質をとらえ、先をよむ力
    今起きていることの本質は何で、それをどうやって人に伝えるか考えることが大切です。リーダーの仕事を単純に言うと、「物事を決めて、伝えて、実行していく」。物事の本質を掴めないと、どうやって実行するかがずれてきてしまいます。本質を掴むためには、様々な視点を持つことが大切です。マクロの視点やミクロの視点だけでなく、世の中の流れを掴まなければなりません。例えば、介護と医療の世界では、保険点数は大きな肝になります。世の中の流れを掴み、先をよむ力が非常に重要です。
  3. 美しい言葉を使う
    曖昧なことを言ったとき、下の人は混乱してしまいます。そのため、リーダーは明確な言葉を使い、出来うるなら、美しい言葉を使った方が良いです。美しい言葉を明確に使い、人を動かすような技法を使った言葉を覚えるべきだと思います。そのためにも、本はとても有効です。
  4. 現場感覚を持つこと
    リーダーは、だんだん現場から乖離していきます。そのときに現場の視点を忘れると組織は必ず崩壊し ます。今何を現場の目線で考えているかということを、いかに強く持っておく事が、将来リーダーになったときに必ず活きてくるので、ただ漫然と過ごすのでは なく「現場目線は何なのか」を意識して過ごして欲しいと思います。
  5. 決める
    リーダーにとって決めるということは非常に大きな役割です。決めることも同様に鍛える必要があります。例えば、「今日何を食べるか決めること」もリーダーシップの訓練になります。決断の背景には「なんでその決断をするのか」と、理由が必ずあるはずです。「決める」ということは、責任があるため、リーダーは説明できないといけません。急にホームランを打てるのではなく、毎日コツコツと練習する必要がるので、是非皆さんも日頃の生活の中で、自分の決断の理由を問う習慣をつけることは必ず今後役に立ってくると思います。

後半のお話のあとは、前半のワークで共有した問題意識の解決に向け、「今の学びから明日からあなたができる一歩目は何ですか?」というテーマでグループワークを行いました。

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ワーク後のネットワーキングの時間では、会場の室温も一気に上がって、素晴らしい熱気が充満していました。

「イノベーション」という今回のイベントテーマから、お食事は「未来の介護食」をコンセプトにCRAZY KITCHNさんに素敵な食事をご提供頂きました。

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飲み物は、ソフトドリンクやビールに加え、武藤さんが石巻で事業展開されていらっしゃることから、少しでも私たちも東北へこのイベントを通じて貢献できたら良いなという思いから東北のお酒をご用意しました。

飲み物はなんと!、私たちの想いに共感してくれた企業、個人様からの差し入れでした!本当にありがとうございました。

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イベントラストは武藤さんとのQ&Aへ。秋本がコーディネーターを務め、事前に寄せられた質問にお答え頂きました。

秋本:たくさんの質問をお寄せ頂いています。教育に関する質問が多いですかね。社内教育はどのようにされていらっしゃいますか?

武藤:プレゼンが終わったのでもう飲んで良いかなと思い、勧められたお酒の中に気仙沼のお酒があって飲んだらとても濃くて、きちんとお話できるかが心配ですが。

会場:(笑)

武藤:社内教育は、部門によって異なります。うちの組織は、医師部、連携部(看護師やソーシャルワーカー)、アシスタント部(運転など診療の補助をしてくれる人)、事務部と法人運営部の5つに分かれています。社内教育としては先ほどご紹介したドラッカーの本を読むなどもありますが、私たちはクレドを作っています。

組織を作る時に参考にしたのが、リッツカールトンです。彼らのクレドには、言葉は違うかもしれませんが、「紳士、淑女にサービスをするものは紳士、淑女であれ」というのが根底にあります。僕らも創業メンバーで自分たちの組織が何のために存在しているのかということを考え、「YOU CREDO」をつくりました。

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「YOU CREDO」  祐ホームクリニックサイトより引用

武藤:クレドをつくったときから、朝会で毎日全員でこのクレドを読んでいます。朝会ではクレドを読むことと、ドラッカー365日の金言を読むことから始まります。根底として我々は何の為に組織員として存在しているのかをみんなで共有すること。それは形式的なものではなく、毎日みんなで確認し、クレドに沿っているか否かを評価します。それでボーナスも決まります。詳細に組織文化を浸透する仕組みを作っています。もちろん細かい指導をすることもありますが、いかに文化を築いていくかが大事だと思っています。私たちは急激な規模の拡大は行いません。この文化をいかに広げていくか、そして10年、20年続く組織にするためにも、とても大切に考えています。

秋本:文化を大切にすることは、量よりも徹底的に質にこだわり抜いているように感じられたのですが、それに少し関連して「在宅を突き詰めて行くと究極なビジョンはどうなると思いますか。」というご質問を頂いています。

武藤:クレドでも言っているのですが、一番最後何をやらなければいけないかというと、「希望ある社会を創造する」ということを上位概念に置いています。我々が診ている方は、寝たきりであったり、癌の末期の方が多いのですが、その人たちが過ごす人生の最期の時間に少しでも希望をどう持ってもらえるか。

緩和ケアであっても、身体的な緩和ケアや精神的な緩和ケアなど様々な緩和ケアがあります。痛みや苦しみを感じさせないための医者としての技術も大切ですが、それだけではありません。例えば、患者さんとご家族が仲が悪いケースもあります。そういった場合、少しでも家族関係を良くする為にどのようにすれば良いかを考えます。今生きている瞬間も大事ですが、亡くなった時に、家族にその人をどのように思ってもらえるかを考えて、非常に難しいですが、早い段階から家族関係の修復へのアプローチも必要になります。僕も大学病院で働いていたときは、いかに血管を拡げるかというようなことがミッションだったのですが、今の考え方としては、その人の人生をいかに僕らが関わる期間は短いながらも理解をして、その人が亡くなったとしても、僕らができることはなんだったのかを考える。それが少なくとも患者さんにとっては、希望ある社会に最期なれるんだとしたら、在宅医療の一番大きな目的なのではないかと思います。それは病院で亡くなるのではない世界を作れる僕らの大きなミッションです。

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秋本:とても直球な質問です。ずばり!介護のイノベーションは、起きますか?それに加えてもう1つ、今後連携を進めていきたい業種はどこでしょうか。

武藤:介護そのものにイノベーションが起きるかと問われると、僕は難しいと思います。

その理由の1つは、技術的な観点です。介護は、技術よりも「人の力」が必要不可欠な仕事だからです。例えば医療の場合、がんが100%治る薬が開発されたらそれだけでイノベーションです。介護は日頃の排泄や睡眠など、生活そのものをサポートすることなので、どんなに技術的なイノベーションが生まれたとしても、最期は人がとても大事です。介護ロボットが許容されるようになったら分かりませんが、1人1人が声をかけたり優しくしてあげるのがとても大事なので、現状ではそこにイノベーションは正直生まれにくいと思っています。

2つ目に、収益の面です。保険点数で収益が決まっているのが医療と介護のルールです。例えば何か新しいイノベーティブなものを生んだからそれで3倍の収入が入ってきて、次への投資ができるわけではない。これが他の業界との大きな違いです。今のルールでは、何か良い自費サービスを増やしたとしても、払える利用者は限られてくるので現行のルールでは難しいと思っています。

例えば、医療と介護のICT をもちいた情報連携というのは、1つのイノベーションになりうるとは思いますが、やはり質を上げるとか質の均等化をはかることが目的となります。

他の例で言えば、遠隔医療で医療も介護も一緒に考えた場合に、少ない医療や介護資源の中で、今と同じような質を担保できるような情報連携の仕組みなどができれば、それは1つのイノベーションと言えるでしょう。

しかし、iPhoneのような劇的なイノベーションは生み出しにくいのです。それでは面白くないので、デザインシンキングなど、利用者の目線でゼロベースで考えることがイノベーションを生み出す一歩に繋がるかもしれません。

我々が今連携しようとしているのは、コンビニや運輸業などです。医者、看護師や介護士はこれまで制度的には接点を持っていましたが、そういう人たちだけではもう足りなくなっています。21世紀型の社会インフラとして、例えばコンビニは介護施設より多いです。また、何か自宅に届けてくれる人や定期的に自宅に訪れる電気やガスの人。 そういった業態の人たちと垣根をなくして介護をもう一度捉え直すことが大事だと思います。今までの既存の概念にはありませんが、ただそれは「高齢者の生活」という視点で考えたときに、自ずと接点がある人は浮かんできます。

もう1つ我々が今取り組もうとしているのは、テレビです。高齢者の自宅には、たいていテレビがあり、家にいるときテレビを見て過ごす人も多いです。これを通じて新しいサービスができないか、テレビを作っているメーカーや放送局と連携をしています。つまり、その人の目になって、耳になって考えたときに、これまで全く違った発想が生まれるかもしれません。

秋本:そうやってどんどん色んな業界の人や、祐ホームクリニックを石巻で立ち上げられたときもボランティアさんなど多くの人を巻き込んでいらしたかと思うのですが、そういった仲間づくり、人を巻き込むコツを教え頂けたらと思います。

武藤:やるべきことをまず決めることだと僕は思っています。リーダーはだいたい自分のやりたいことが強くありますよね。それだとなかなか上手くいかないことが多いんですね。リーダーの仕事は、例えば「まずこれをやりましょう」と決めることです。そして一緒にやってくれる仲間には、色んなことをやりたいと言っている人がいます。その一緒にやってくれる人たちが何をやりたいのかということと、モチベーションが上がるポイントは何かを知ることをとても大切にしています。ただ、それだけではみんなが好き勝手やってしまうので、何が一番重要であるかを決める必要があります。最後、どうしても埋まらないところをやったり、やれる人を連れてくるなり、最後まで責任を持つのがリーダーの仕事です。

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秋本:最後に、HEISEI KAIGO LEADERSは2025年に向けて活動を始めたコミュニティで、本日のお話の中ではイノベーションは起きないとのお話はありましたが、一方で今日は現状を変えたいという思いからどうやってイノベーションを起こしていくのか武藤さんにお話し頂きました。今日来て下さった方は世代や業種関係なく、色んな問題意識や想いを持っているからこそ、今日この場にお越し頂いたのだと思っています。そんな私たちに向けて、最後に一言頂戴できたらと思います。

武藤:あまりえらそうなことは言えませんが、「イノベーション」はどの業界においても起こそうとするのであれば、年齢、経験や思いなど様々なバックグラウンドを持つ人が集まって、その中で発火するものをつくることしか21世紀の中でイノベーションは生まれないと思っています。経験や知識が全てであった時代から、それぞれの人が大量な知識の洪水の中から、それぞれ興味のあるものを持っていると思います。

僕が大学にいたとき、友達の95%は医者だったんですね。よく考えたら特異な環境ですよね。マッキンゼーに行き、医療業界以外の優秀な人たちと関わる中で、自分の価値観がさらに広がり、磨かれていることに気づきました。それまでは、医療業界の範囲で考えていたのですね。もっと若いときに気付くことができていたら、今よりもっと自分の枠は広がっていたかもしれません。

今日ここにいらっしゃる皆さんにお願いしたいのは、多くの人と知り合って、もっともっとチャレンジして下さい。どうしても自分の安心していられるところに居たくなりますが、いかに鍛えて、外に行って、新しいイノベーションをみんなでどうやったら生めるのかということを、続けて欲しいと思います。私も上手くいかなかったことはたくさんありますが、それでもやり続けていられるのは仲間がいて、支えてくれたからだと思うんですね。今日もこういったところを1つの機会として、みんなで新しいものをつくっていけたらと思います。ありがとうございました。

 

イベントの最後は、全員でこの日の学びの場を築いた全ての人に拍手を送って、締められました。

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今回のイベントには、医療・介護に関わらず様々な業種の人にご参加頂きました。新たなつながりが生まれ、年齢や業種関係なくそれぞれの想いや考えをフラットに交換し合えるこの場は、武藤氏のお話の中でもあったイノベーションが生まれる1つのきっかけになるかもしれません。参加者の皆さんと築いた学びを、私たちメンバーもそれぞれの現場、そして次回のイベントへと繋げていけたらと思います。

次回のPRESENTは、8/8(土)18:30〜ダイアログ・イン・ザ・ダークの志村真介氏をゲストに迎え、「ダイアログで介護は変わるのか?」をテーマに開催致します。

超高齢化社会において、溢れる様々な課題―その全てにと言っても 過言ではないほどに、「人と人との関係性」が密接に関わっています。 肩書きや立場など関係なく、1人の「人」として関わることができたら、 もっと日本の介護はよくなるかもしれません。ダイアログの重要性・可能性を 講師の志村真介さんとご参加頂く皆さんとともに探っていきたいと思います。

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『PRESENT_02 志村真介』 詳細・お申し込みはこちら素敵な学びの時間を皆さんとともにつくれることを、楽しみにしております。

 

(文:山本健治・秋本可愛 写真:北村真理)

イベントレポート 2025年COUNTDOWN PARTY〜ジブンシフト〜

——「今回のイベントで伝えたいことは、2025年の医療介護問題に対して、実現させたい未来や変化を考えていくことです。それの想いを、このスライドに込めました。」

神田のとあるイベントスペースにて行われたそのイベントは、この言葉からスタートした。

当日のプログラムは、以下の通り。

  1. アイスブレイク
  2. 「2025年、私達の生活はどう変化していくのか」
    (HEISEI KAIGO LEADERS代表 秋本可愛氏)
  3. パネルディスカッション
    (Social Change Agency 代表 横山北斗氏、慶応義塾大学医学部 志村翔氏)
  4. キャンドルナイト

筆者の勝手なイメージだが、医療介護系のイベントというと年齢層がやや高く、医療介護に対する事前知識がないと関われない、壁の高さを感じていた。しかし、ここに集まった多くは平成生まれの若者たち。もちろん医療介護の現場で働く人もいるが、これから関わりたいと思っている人、関わる予定はなくても興味がある人などが参加しており、個人的に感じていた医療介護特有の閉塞感は感じなかった。

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アイスブレイクが始まる前に、ファシリテーターの和泉氏はこう付け加えた。

「この場所は、レクチャーの場ではありません。ここは、各々が医療介護に関して実現させたい未来や変化を考える場です。我々主催者も、それが何なのかは分かっていません。今回は、この答えのない問いに対して対等な立場で一緒に考えていきたいです。」

この一言で、参加している人たちの顔つきや空気がガラリと変わり、それはイベント終了まで続いた。それぞれどこか受動的だったものが、自分という主体性を身にまとい、自分事として考え、発言しているように感じたのだ。アイスブレイクでも、とても和やかな雰囲気の中に程よい緊張感もあり、イベントは良いスタートを切った。

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HEISEI KAIGO LEADERS代表・秋本氏は「2025年、私たちの生活はどう変化するのか?」というテーマで話を始めた。2025年といえば、団塊の世代が後期高齢者となり、要介護者の増加と介護人材の不足、医療費や社会保障費の増加など、様々な問題が表面化してくるであろうと予想されている年だ。そこに向けて、いまどのような変化が起きているのかということを、ワーク・シフトの視点から語ってくれた。

「ワーク・シフトの観点から、テクノロジー、人口、グローバル、社会、エネルギーといった5つの分野から変化が進んでいくと言われています。目まぐるしく変化する現代において、その変化を察知し自分の生き方を考えて欲しいと思います。」

それを聞いた後、参加者同士の意見交換が始まった。印象的だったのが、テクノロジーの進化で介護ロボットなどが次々と生まれているのが良いことだと思う人がいる一方で、その機械化に対する違和感を感じる人も多いということだった。医療介護は、良い意味で属人的な業務が多い。そこには人の温かみや優しさが詰まっているが、一方でロボットにはそれがないものの介護人材の不足という問題を解決してくれる可能性を秘めている。そのような具体的な問題に対して、どのような形でロボットが関わっていくべきなのかということは、医療介護の現場に関わる人だけでなく、テクノロジーを開発していく側としても重要なテーマになるだろう。

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イベントは次に、パネルディスカッションに移る。ここまで話を後ろから聞いていて、私の頭にはある言葉が思い浮んだ。それは「拡張する介護」という言葉だ。パネラーの2人や参加者からは多くの意見が生まれ、多くの問いが生まれた。その中で、「介護」や「社会福祉」という医療介護を連想するワードの他に、「教育」「情報テクノロジー」といった一間すると関係のないように思えるワードが次々と飛び交っていたのだ。

テクノロジーの開発や教育制度の刷新など、私達を取り巻く社会は次々と変化している。その中で、「医療介護」というものは、そこに関わらない外部の人間からするとその中で完結している問題のように感じていた。しかし、もはや介護の問題は介護の中だけでは完結しなくなってきているのだ。介護の立場から全ての問いを考えるのではなく、テクノロジーの立場から、教育の立場から介護を考えていくことこそが、2025年問題をむかえるにあたって必要なことではないだろうか。これからの介護問題を考える時には、多面的な視点を求められているという意味で、「拡張する介護」がテーマになってくるのだろうと思った。

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熱い議論が交わされた後、イベントは最後のキャンドルナイトへ。真っ暗な部屋の中で今日のイベントを振り返り、今後自分は医療介護に対してどのような考えを持ち、接していくのかということをシェアし合う時間だ。

互いの考えをさらけ出し、異なる意見も認め合ったあとのこの空間は、まるでふわふわの毛布にくるまれているときのような安心感と心地よさでいっぱいだった。決して感情的になることなく、各々が自戒も込めて心に刻みこむように淡々と語っている姿が印象的だった。

平成生まれの私達が、2025年という医療介護分野にとって大きな転換期に対して何を考え、どのように行動していくか。それぞれ職業や生きていく環境が異なる人々が、その大きな問題を1つになって変えていく。

「ここから、未来を変えていくんだ。」

そんなパワーと優しさで満たされた場所になったのではないだろうか。もちろん、その場限りの自己満足感ではない。きっと、今回参加した人たちは現場に戻っても人一倍考えて動いていく、そう確信できたのだった。一参加者として、この場に居合わせることができたことを嬉しく思う。

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(special thanks! 文:石原龍太郎 写真:古川佳裕 桐野葵 イラスト:高橋夏見)