イベントレポート 2025年COUNTDOWN PARTY〜ジブンシフト〜

——「今回のイベントで伝えたいことは、2025年の医療介護問題に対して、実現させたい未来や変化を考えていくことです。それの想いを、このスライドに込めました。」

神田のとあるイベントスペースにて行われたそのイベントは、この言葉からスタートした。

当日のプログラムは、以下の通り。

  1. アイスブレイク
  2. 「2025年、私達の生活はどう変化していくのか」
    (HEISEI KAIGO LEADERS代表 秋本可愛氏)
  3. パネルディスカッション
    (Social Change Agency 代表 横山北斗氏、慶応義塾大学医学部 志村翔氏)
  4. キャンドルナイト

筆者の勝手なイメージだが、医療介護系のイベントというと年齢層がやや高く、医療介護に対する事前知識がないと関われない、壁の高さを感じていた。しかし、ここに集まった多くは平成生まれの若者たち。もちろん医療介護の現場で働く人もいるが、これから関わりたいと思っている人、関わる予定はなくても興味がある人などが参加しており、個人的に感じていた医療介護特有の閉塞感は感じなかった。

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アイスブレイクが始まる前に、ファシリテーターの和泉氏はこう付け加えた。

「この場所は、レクチャーの場ではありません。ここは、各々が医療介護に関して実現させたい未来や変化を考える場です。我々主催者も、それが何なのかは分かっていません。今回は、この答えのない問いに対して対等な立場で一緒に考えていきたいです。」

この一言で、参加している人たちの顔つきや空気がガラリと変わり、それはイベント終了まで続いた。それぞれどこか受動的だったものが、自分という主体性を身にまとい、自分事として考え、発言しているように感じたのだ。アイスブレイクでも、とても和やかな雰囲気の中に程よい緊張感もあり、イベントは良いスタートを切った。

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HEISEI KAIGO LEADERS代表・秋本氏は「2025年、私たちの生活はどう変化するのか?」というテーマで話を始めた。2025年といえば、団塊の世代が後期高齢者となり、要介護者の増加と介護人材の不足、医療費や社会保障費の増加など、様々な問題が表面化してくるであろうと予想されている年だ。そこに向けて、いまどのような変化が起きているのかということを、ワーク・シフトの視点から語ってくれた。

「ワーク・シフトの観点から、テクノロジー、人口、グローバル、社会、エネルギーといった5つの分野から変化が進んでいくと言われています。目まぐるしく変化する現代において、その変化を察知し自分の生き方を考えて欲しいと思います。」

それを聞いた後、参加者同士の意見交換が始まった。印象的だったのが、テクノロジーの進化で介護ロボットなどが次々と生まれているのが良いことだと思う人がいる一方で、その機械化に対する違和感を感じる人も多いということだった。医療介護は、良い意味で属人的な業務が多い。そこには人の温かみや優しさが詰まっているが、一方でロボットにはそれがないものの介護人材の不足という問題を解決してくれる可能性を秘めている。そのような具体的な問題に対して、どのような形でロボットが関わっていくべきなのかということは、医療介護の現場に関わる人だけでなく、テクノロジーを開発していく側としても重要なテーマになるだろう。

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イベントは次に、パネルディスカッションに移る。ここまで話を後ろから聞いていて、私の頭にはある言葉が思い浮んだ。それは「拡張する介護」という言葉だ。パネラーの2人や参加者からは多くの意見が生まれ、多くの問いが生まれた。その中で、「介護」や「社会福祉」という医療介護を連想するワードの他に、「教育」「情報テクノロジー」といった一間すると関係のないように思えるワードが次々と飛び交っていたのだ。

テクノロジーの開発や教育制度の刷新など、私達を取り巻く社会は次々と変化している。その中で、「医療介護」というものは、そこに関わらない外部の人間からするとその中で完結している問題のように感じていた。しかし、もはや介護の問題は介護の中だけでは完結しなくなってきているのだ。介護の立場から全ての問いを考えるのではなく、テクノロジーの立場から、教育の立場から介護を考えていくことこそが、2025年問題をむかえるにあたって必要なことではないだろうか。これからの介護問題を考える時には、多面的な視点を求められているという意味で、「拡張する介護」がテーマになってくるのだろうと思った。

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熱い議論が交わされた後、イベントは最後のキャンドルナイトへ。真っ暗な部屋の中で今日のイベントを振り返り、今後自分は医療介護に対してどのような考えを持ち、接していくのかということをシェアし合う時間だ。

互いの考えをさらけ出し、異なる意見も認め合ったあとのこの空間は、まるでふわふわの毛布にくるまれているときのような安心感と心地よさでいっぱいだった。決して感情的になることなく、各々が自戒も込めて心に刻みこむように淡々と語っている姿が印象的だった。

平成生まれの私達が、2025年という医療介護分野にとって大きな転換期に対して何を考え、どのように行動していくか。それぞれ職業や生きていく環境が異なる人々が、その大きな問題を1つになって変えていく。

「ここから、未来を変えていくんだ。」

そんなパワーと優しさで満たされた場所になったのではないだろうか。もちろん、その場限りの自己満足感ではない。きっと、今回参加した人たちは現場に戻っても人一倍考えて動いていく、そう確信できたのだった。一参加者として、この場に居合わせることができたことを嬉しく思う。

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(special thanks! 文:石原龍太郎 写真:古川佳裕 桐野葵 イラスト:高橋夏見)